■第32回 ばね指について知っとこうか
整形外科部長 伊藤隆司
◇ばね指とは
手の指には、指を曲げるために指の腹側を通っている屈筋腱(くっきんけん)と、その腱(けん)を浮き上がらせないためにある腱鞘(けんしょう)(プーリー)と呼ばれるものがあります。
これはちょうどベルト(腱)とベルト通し(腱鞘あるいはプーリー)の関係に似ています。屈筋腱がたくさん動くことにより腱鞘は炎症を起こし、肥厚します。これにより腱鞘の内腔が狭くなってしまい、腱がこすれて通過しにくくなり、腱鞘の痛みが出てきます。もっとひどくなると、さらに狭くなった腱鞘内腔に押されて、腱にくびれができてしまい、指を動かすたびに、カクンカクンとばねが弾けるような動きをします。
◇ばね指の原因は
原因として、指でものを把持し続けるといった動作、家事労働などによる指の酷使があげられます。
◇ばね指の疫学
疫学として男性:女性=1:6と女性に多くみられ、女性ホルモンが減少している更年期の女性や、糖尿病の方が発病しやすいです。生涯発生率は2.6%程度で、その中の約40%は、自然軽快します。
◇ばね指の治療
発症から数か月以内で症状が軽ければ、腱鞘の炎症を抑えるために行うステロイド注射をすることで症状が軽減することがあります。しかし、仕事や、家事で指を酷使する方は、注射してもすぐに再発するため、結局、腱鞘の天井を切開して、屈筋腱の圧迫をとる手術となることが多いです。
手術は、日帰り、時間は15分程度ですので、気になる方は、当院か近くの整形外科医院までお気軽にご相談ください。
問合せ:公立甲賀病院「地域がん診療連携拠点病院」「滋賀医科大学地域医療教育研究拠点」
【電話】62-0234【FAX】63-0588
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