■第33回 甲賀の寒い冬、循環器病にご注意を!
副院長・循環器内科統括部長 山本 孝(たかし)
甲賀市には歴史のある有名な酒蔵がたくさんありますね。甲賀市は鈴鹿
山系の水と良質な近江米に恵まれた上に、冬の底冷えする寒い気温は日本酒造りに適した要素が揃っている土地のようです。甲賀市のさむ~い冬はお酒にとっては好都合なのですが、一方で高血圧や心不全といった循環器病を抱える患者さんにとっては注意が必要です。
冬になって気温が下がると、皆さんの血管は収縮しやすくなって血圧が上昇傾向となります。また、冬場は塩分の摂取が多くなりがちで、これも血圧上昇の原因となります。血圧が上昇すると心臓や血管に負担がかかり、心筋梗塞(こうそく)や心不全の発症が増加することが分かっています。図は心疾患による月別死亡数を統計したものですが、心臓病で亡くなる方は寒い冬場に多いことが一目瞭然です。特に高齢者の方が気温の変化を受けやすい傾向にあります。
では、どのように対策すれば良いのでしょう。まずはお部屋を暖かくすることが重要です。また、寒暖差もできるだけ避けるべきで、トイレや脱衣所を含むお風呂も注意が必要です。暖房の嫌いな方もおられると思いますが、暖房器具をうまく活用しましょう。そして、食事の塩分にも気をつけましょう。できれば毎日、朝夕に血圧を測定し、上の血圧が140mmHgを超える方は近くの医院や当院を受診ください。急な呼吸困難や激しい胸・背中の痛みが持続する場合は、ためらわず救急車をお願いしてください。
問合せ:公立甲賀病院「地域医療支援病院」「地域がん診療連携拠点病院」「滋賀医科大学地域医療教育研究拠点」
【電話】62-0234【FAX】63-0588
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