人権コラム

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■小さな声が社会を変える一石となる
2022年12月2日の朝刊を見て驚きました。そこにはアメリカのインターネット巨大企業であるグーグル社が、自社サイトに投稿されていた被差別部落の動画約200本を削除したというニュースが書かれていたからです。近年、インターネット上の人権侵害が世界中で大きな問題となっており、中でも日本においては全国各地の被差別部落にカメラを持ち込み、無断で施設や家屋を撮影し、地名や個人名などをさらしてきた動画に多くの批判が寄せられていました。ところが日本にはこうした動画を規制する法律はまだ定められておらず、長年野放し状態が続いていました。しかし、同年11月、部落差別の解消に取り組む人たちなどでつくるグループが動画の削除を求める「オンライン署名活動」を開始され、わずか2週間で約2万8千筆もの署名が集まったのです。これを受け、グーグル社は12月2日、これらの動画をヘイトクライムに認定し、一斉削除しました。数人のグループの声からアメリカの大企業を動かしたこの出来事は、差別問題に取り組む多くの人々に希望をもたらしました。声を上げ続けることで社会を変えられることが立証されたからです。ただし、これで問題が解決したわけではありません。この間、多くの人にこれらの動画が視聴され、偏見が広められてしまいました。投稿者は新たな差別サイトを立ち上げると言っています。私たちは人権教育の手綱を緩めるわけにはいかないのです。