■心と会話弾む“竜王初の地ビール”で新たな観光資源に
令和4年7月に「地域おこし協力隊」として竜王町へ移り住み、まちの活性化に向けてさまざまな取り組みを行ってこられた義本健太(よしもとけんた)さんが、今年3月末に任期満了を迎えます。そこで、竜王町初となる地ビール醸造所の開業をめざし、これまで取り組んできた活動をご紹介するとともに、今後の展望などをお聞きしました。
◇7年ぶり!地域おこし協力隊誕生
地域おこし協力隊とは、地域外の人材を新たな担い手として受け入れ、その定住と地域おこし活動を通じて地域の活性化を図ることを目的とした、総務省が推進する制度です。竜王町では平成25年度から地域おこし協力隊制度を導入し、これまでに2人の隊員を受け入れてきました。その後、7年ぶりに隊員として任命されたのは、自らを「ビールに人生を狂わされた男」と謳う、生粋のビールマニアの義本健太さん。委嘱式では、「竜王町初となる体験型地ビール醸造所の開設と地ビールの開発をめざし、ビールを通じて人が集まり、心と会話が弾む場所をつくりたい!」と、その熱い思いを語られる姿とビールの本場ドイツで培った技術が注目され、大きな期待が寄せられました。
◇ビールを通じて地域活性化を!
ビールのすばらしさに魅せられた義本さんは、平成28年にビールの本場ドイツ・バイエルン州のビール醸造所へ入社。2年後には、ドイツの職人試験「ゲゼレ(Geselle)」に合格し、その後、ドイツ手工業協会(HWK)にて、日本人唯一のブラウマイスター資格を取得されました。令和2年に帰国した義本さんは、本場ドイツで得たノウハウを生かし「義本醸造」を開業。各地でビール醸造アドバイザーとして活動された後、令和4年に妻の絢子さんが竜王町出身というご縁から竜王町へ移住され、同年7月から地域おこし協力隊としての活動をスタートされました。着任後は、醸造所の開設に向けた準備のかたわら、ビールの魅力やおいしさを体感してもらいたいとの思いからイベント「ビール小噺(こばなし)」を開催。参加者からは「醸造所ができたら見学してみたい」、「ビールの奥深さに驚いた!」と、回を重ねるごとに好評を博し、その関心の高さから強い手応えを得た義本さん。醸造所の開業資金獲得に向けたクラウドファンディングにも挑戦され、町内の事業者とも連携しながら自身のビールだけでなくチーズや日本酒など他の竜王町の特産品をお礼の品として提供し、町の魅力を発信したことで見事、目標額の5倍以上の寄付を集めることができました。
「ビールには人が自然に集い、会話が弾む場所を創り、日々に彩りを与えてくれる力があります。竜王町の観光資源である近江牛や近江米、日本酒、果物や野菜などの特産品は、ビールとの相性も良く、組み合わせ方次第で地域おこしとして大きな相乗効果が生まれるはず」と語る義本さん。町の特産品とともに竜王産地ビールを新しい観光資源として発信し、地域の皆さんと共に竜王を盛り上げていく未来像を思い描き、夢の道を切り開いてこられました。そして1月に酒造免許を取得され、ついに竜王初となる体験型地ビール醸造所「アールブルワリー」を2月24日にオープンされました。
夢をかなえた義本さんのさらなる目標は、「町民のみなさんの“いろんな節目に在るビール“を末永く提供し続け、竜王町の魅力を世界へ伝えていくこと」。義本さんの今後の活躍が期待されます。
▼profile
義本健太(よしもとけんた)
1983年生まれ、大阪府熊取町出身。
幼少期から大学まで体操競技に打ち込み、卒業後は旅行会社や製薬会社へ勤務する中、ビールの魅力に憑りつかれ醸造家を志す。2022年より滋賀県竜王町にて地域おこし協力隊として委嘱を受ける。趣味は友人と飲みに行くこと、特技は宙返り。
■地域おこし協力隊卒業報告会
これまでの活動の振り返りとこれからの活動のお話、そして竜王町初となる体験型地ビール醸造所についてご紹介するほか、地ビールをご試飲いただけます。どなたでもご参加いただけるイベントとなっていますので、ぜひお越しください。同日、道の駅アグリパーク竜王では楽しい移動水族館やマルシェを開催予定です。
日時:3月16日(土)10:00~12:00
場所:道の駅アグリパーク竜王(竜王町大字山之上6526番地)
■R_BREWERY(アールブルワリー)
2月24日(土)OPEN
竜王町初!あなた自身の手でオリジナルのクラフトビールを醸造できる、超・新感覚の体験型地ビール醸造所です。20歳の記念など、さまざまな節目にとびきり美味しいクラフトビールを自分の手で作ってみませんか?
義本醸造特製地ビールも販売しています。詳細は本紙掲載の二次元コードからご覧ください。
場所:竜王町大字山之上7104-1「天然温泉蒲生野の湯」敷地内
■地域おこし協力隊メモリアル
義本さんの活動をプレイバック!
◆これまでの活動
2022年
7月 竜王町地域おこし協力隊に着任
11月 「日々の晩酌が少し豊かになるビール小噺」開催…(A)
2023年
1月 「日々の晩酌が少し豊かになるビール小噺2」開催…(B)
5月 「日々の晩酌が少し豊かになるビール小噺3」開催…(C)
6月 「メダリストへの軌跡」開催
8月 「理科・科学はオモシロイ!」開催…(D)
10月 竜王町文化祭イベント「私のゆめ、私のしごと」開催…(E)
12月 「ここ滋賀」(東京)にて販売イベントを開催…(F)
2024年
2月 体験型地ビール醸造所「R_BREWERY(アールブルワリー)」オープン…(G)
(A)晩酌が楽しくなるお酒の豆知識をビールの魅力とともに語った。
(B)町公民館にてビールを多くの来場者にふるまい、魅力を発信した。
(C)道の駅アグリパーク竜王にて、麦汁の試飲を交えビールの製造過程などを解説した。
(D)YouTubeなどで人気の「薬理凶室」のメンバーを招きこどもたちに向けた楽しい実験教室を開催。
(E)町内事業者の人たちと夢や仕事の選び方などについて、こどもたちに向けた熱いトークを繰り広げた。
(F)東京のショップ「ここ滋賀」にて、ドイツの醸造所で醸したビールを販売。話題性と美味しさが反響を呼んだ。
(G)「R_BREWERY(アールブルワリー)」オープン。
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