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すべての人を大切にするまちに

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滋賀県草津市

~アイヌの人々に対する偏見や差別をなくそう~

◇アイヌ民族を知っていますか
多くの人が、アイヌ民族について聞いたことがあると思います。
令和元(2019)年5月に施行された「アイヌ施策推進法」では、「日本列島北部周辺、とりわけ北海道の先住民族である」と明記されていますが、アイヌ民族は、今では北海道だけでなく、日本全国で暮らしています。
アイヌ民族の間で話されていた「アイヌ語」は、日本語と系統の異なる言語で、北海道の市町村名では、約8割の地名がアイヌ語に由来しているといわれています。また、自然界全ての物に魂が宿るとされている「精神文化」や「古式舞踊」、独特の「文様」による刺繍、木彫りの工芸など、北海道の自然豊かな恵みを受けて発展した固有の文化が魅力的です。近年では、伝統的な踊りの復活や、新しいアイヌ音楽の創造などの取り組みが活発になってきています。

◇アイヌ民族問題の歴史
明治時代、政府は北海道(それまでの蝦夷地)の開拓政策を本格的に進め、アイヌ民族の生活安定を図る名目で「北海道旧土人保護法」を制定しました。しかし、これは江戸時代から続いていたアイヌ民族への圧迫を一層強めるものでした。例えば、日本の言語や文化を強制され、それまでのアイヌ民族固有の言語や文化が厳しく規制されました。また、移住者の漁業権などを守るため、それまでアイヌ民族がなりわいとしてきた鮭捕りや狩猟などが規制された一方で、農耕用の土地が与えられました。しかし、農耕には適さない土地が多く、多くのアイヌの人々が貧困に陥りました。それまでも移住者たちから「自分たちとは違う者」としてさまざまな偏見や差別にさらされてきたアイヌの人々の日常生活は、ますます厳しいものになりました。

◇差別の実態
戦後は、これらの問題を解決するための法律が整備されてきましたが、現代社会にも、いじめや偏見、差別が根強く残っています。
結婚を反対され、就職でも差別され、せめてわが子が差別の対象にならないようにと、アイヌ語やアイヌ民族文化を子どもに教えない親もいます。また、道外に出れば差別はされないと、日本各地を転々と転居し、自らの出自を言えない人も少なくありません。
このように、アイヌの人々が差別から逃れるため、故郷や文化を捨てざるをえない厳しい差別の現実があり、「自分たちとは違う」「違うから排除する」といった意識が社会に根強く残っています。
私たちは、差別の解決は差別を受ける側ではなく、差別をする側の責任であることを、この問題から知る必要があるといえます。

◇違いを認め合う
あるアイヌの人はこのように語っています。

数年前、あるカメラマンと話す機会がありました。日本での自他の違いによる差別の現状を話すと「それはおかしい。その人は自分にはないものを持っている。そんな人をいじめるのは間違っているよ。」とカメラマンは言いました。その人たちから学ばなければならないのに、いじめるのは間違っています。よく話し合って、理解し合わなければ、差別はなくなりません。

人と理解し合うことは、差別をなくすためのとても重要な方法です。みんな違って、当たり前。その違いを大切にし、私たち一人一人が、アイヌの歴史や伝統、文化などについて正しく理解し、全ての人が自分のルーツに誇りをもって生活していくことができる社会をめざしましょう。

[SUSTAINABLE DEVELOPMENT GOALS]
2015年9月に国連サミットで採択された「誰一人取り残さない」を理念とする、国際社会共通の目標です。先進国と途上国が一丸となって、目標の達成をめざします。市でも第6次総合計画で、SDGsの視点を踏まえたまちづくりを進め、広報くさつでは、該当する記事にアイコンを表示します。
※アイコンは本紙をご覧ください。

問合せ:人権センター(大路二、キラリエ草津3階)
【電話】563-1177
【FAX】563-7070

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