■ミッドナイト・バス
伊吹有喜 著
文藝春秋
東京での仕事を辞め、故郷の新潟で深夜バスの運転手として働く、中年の利一。東京にいる若い恋人との新しい人生を歩み出そうとした矢先、息子が仕事を辞めて実家に戻ってきた。娘も結婚と仕事の間で気持ちが揺れていた。そんなある日、利一の運転する深夜バスに乗車してきたのは、16年前に別れた元妻だった。新しい家族との関係、父の看病、更年期による体調不良。元妻もまた、悩みを抱えていた。
一度はバラバラとなってしまった家族が故郷で再び出会い、深夜バスをとおして明るい朝をめざしていく姿は、家族の強い絆を感じる。バスの乗客にはそれぞれの人生があり、悩みを持っている。「暗い夜のトンネルを抜ければ、必ずきれいな朝が待っている」切なくも暖かい、乗客たちの物語に心が打たれる。
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