■あぽやん
新野剛志 著
文芸春秋
「あぽやん」とは、エアポート(略してAPO)で働く旅行会社のスタッフのことです。本書は、さまざまな「トラベル」、いや「トラブル」をテーマに、あぽやんたちの奮闘ぶりが小気味良いテンポで爽やかに描かれています。
主人公の遠藤慶太(えんどうけいた)は29歳。大航ツーリストの企画課から成田空港支所に飛ばされました。ツアー客用のカウンターで働くスタッフたちを見て「絶対あぽやんにはならないぞ」と本社へ返り咲くことを心に誓いますが、毎日のように起こる旅券やチケットのトラブルを解決すべく空港内を走りまわるうちに「お客様を笑顔で出発させる」ことに生きがいと誇りを感じ始めます。
真面目で頑固、笑顔が苦手だった主人公が、個性的な仕事仲間とともに成長していく姿に自分を重ねたり、若き日を思い出す読者も多いでしょう。「たかがあぽやん、されどあぽやん」仕事に前向きになれる連作短編集です。
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