■ざぶん
嵐山光三郎 著
講談社
夏目漱石や森鴎外、川端康成といった、明治時代から大正時代にかけて活躍していた文士たち。彼らにとって、温泉は執筆活動の疲れを癒すための場所であり、他の文士たちと交流をする場所でもあり、小説のネタを捜す文学の拠点でもありました。
本書は、多くの文士が温泉を好んでいた史実を元に、温泉地で他の文士と出会い、どのような会話をしていたのかを想像して描かれた小説です。実録のような形式で描かれているので、フィクションとして脚色されていると分かっていても、文士たちが実際にこうした姿で語り合っていたのではないかと思わされてしまいます。
厄介な性格をしていた文士たちも、湯につかることで気持ちを落ち着かせていたようです。人が湯につかることで癒される様子は、いつの時代でも変わらない姿なのでしょう。
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