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沖島の漁業を考える

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滋賀県近江八幡市

琵琶湖に浮かぶ有人島「沖島」に移り住んだ、塚本千翔(ちしょう)さん。先輩漁師のもとで3年間の見習いを終え、今年「漁師」になりました。今回は、そんな塚本さんに沖島の漁業の現状や、今後についてを伺いました。

◇沖島
世界的にも非常に珍しく、日本では唯一の淡水湖(琵琶湖)に浮かぶ有人島で、人口は約240人。市内の堀切港から通船(連絡船)に乗って片道約10分。島内での主な移動手段は、三輪自転車です。近年、島独特のゆったりとした空気感などを求め、たくさんの観光客が訪れています。

◇沖島漁業協同組合
水揚げなどを取りまとめる組織として発足し、島内の約85%の世帯が加入しています。今年度から、塚本さんが准組合員として加わりました。しかし、組合員は70代が一番多く、深刻な後継者不足は喫緊の課題となっています。
魚獲量は、琵琶湖漁業全体の約4割となっており、琵琶湖の漁業協同組合の中でも中心的な役割を担っています。

◇沖島で取れる主な湖魚やエビ
・アユ(コアユ)
・モロコ
・ニゴロブナ
・スジエビ
・ウナギ
このほかに…ワカサギやウロリ(ゴリ)、イサザ、ハスなども

◆塚本さんのプロフィール
1992年1月17日生まれ31歳。滋賀県近江八幡市出身。
大学卒業後、県内で個人事業主を対象とした管理職・マネージメント職を経験。その後、東京でゲストハウスやシェアハウスの仕事などに従事し、約1年半過ごす。「地元の滋賀がやっぱり好き」と思い、滋賀にUターン。沖島民泊湖心(koko)の管理人を経て、漁師の道へ。

◆魚がいなければ沖島ではない
民泊の管理人として沖島に関わる中で、近隣の人から湖魚を頂く機会が多くありました。その時の「取った人の顔が見える料理」があまりにもおいしく感動し「この琵琶湖の幸のすばらしさを広く知ってほしい」と思ったのがきっかけです。さらに、漁師の人から後を継ぐ人がいないことや、漁業が直面している現実の厳しさなどの苦労話を聞いたことで「魚がいなければ沖島ではない」「やらない理由がない」と思い漁師を始めました。

◆仕事内容
漁のある日のスケジュール

▽漁の内容
年間を通して、主にスジエビを取っています。現在はエビ取りかご「たつべ」を使った「エビたつべ漁」と、「沖曳(ちゅうび)き網漁」という沖合で操業する底引き網漁の2種類をしています。
時期によりエビの取れる水深が違い、秋から冬はだんだん深く、冬から春はだんだん浅瀬へ移動するため、今の時期は「沖曳き網漁」をしています。それまでは「エビたつべ漁」をしていました。

◆まずは沖曳き網漁から
「沖曳き網漁」は難易度の高い漁法のため、自分一人でできるようになったときは「より漁師としての道を歩み始めることができた」と感じることができました。大漁に網にかかったエビを見ると、うれしさがこみ上げてきます。
ただ、現状では1人だとどうしてもマンパワーが足りないので、1人でも一人前の漁師として、納得できるような形を早く確立させたいです。

◆島の人に安心してもらえるような漁師になる
今は余裕がなく経験値も足りないため、他の漁法はできません。今後は、今の漁法以外もできるようになり、年間を通してさまざまな魚が取れるようになりたいです。また、沖島の漁業を知ってもらうため、もっとブログやSNSを定期的に更新し発信していきたいです。

◆おすすめの料理
「エビ豆」はスジエビを大豆と一緒に甘辛く煮た滋賀県の郷土料理で、「スジエビのから揚げ」はエビ本来の甘さが際立ちます。お酒のつまみにもおすすめです。

問合せ:農業振興課
【電話】36-5514【FAX】46-5320

■沖島漁業に興味のある人へ
沖島漁協では、琵琶湖漁業の「後継者育成事業」にも取り組んでいます。興味がある人は、一度ご相談ください。

問合せ:沖島漁業協同組合
【電話】33-9511【FAX】33-9513

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