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歴史の小窓-学芸員のメッセージ-

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滋賀県野洲市

■絵図から読み解く地域の歴史
─江州(ごうしゅう)栗太(くりた)・野洲(やす)・蒲生郡之内絵図(がもうぐんのうちえず)を読み解く─
現在、博物館では春期テーマ展を開催しています。本展でご覧いただきたい資料が、江戸時代の寛永(かんえい)18(1641)年3月に作成された「江州(ごうしゅう)栗太(くりた)・野洲(やす)・蒲生郡之内絵図(がもうぐんのうちえず)」です。
本図は、江州、つまり近江国(おうみのくに)(現在の滋賀県)の栗太・野洲・蒲生の三郡を表わしたもので、次の2点にご注目ください。
1点目は三郡において江戸(えど)幕府(ばくふ)が支配する村、つまり幕領(ばくりょう)を表わした点です。よって、描かれていない村は幕府以外の領主(りょうしゅ)が支配した村、私領(わたくしりょう)といわれる土地で、当時の三郡は幕領と私領が入り組む状態にありました。また、幕領については、石高(こくだか)(米の生産量)と年貢(ねんぐ)(税)、支配にあたった幕府役人の代官(だいかん)の名前など、その情報が詳しく記されています。
2点目は、中央部に「永原御殿」と表わし、幕府が支配する村から同御殿までの距離を記していることです。
これらのことから、本図は、幕領と私領が入り組んだ三郡において幕領支配のために作成した絵図といえます。
また、そのような状態にある三郡において永原御殿は幕府の重要な拠点であったと考えられます。
本図は、寛永18(1641)年当時に江戸幕府が三郡の幕領をどのように支配しようとしていたのかを考えるうえで重要な史料です。ぜひご鑑賞ください。
(博物館学芸員齊藤慶一)
(※詳しくは本紙をご覧ください。)

■春期テーマ展「近江国(おうみのくに)野洲郡永原御殿-徳川将軍の宿泊所-」
開催中~5月28日(日)
※会期中の休館日:月曜日
※市民は入館無料(運転免許証やげんきカードをご提示ください。)
※市ホームページ等で事前に開館状況をご確認の上、ご来館ください。

歴史民俗博物館
【電話】587-4410【FAX】587-4413

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