■田植えの道具─規則正しく植えるために─
当館では、3月16日から5月26日まで、春期テーマ展「ちょっとむかしの農具-たがやす、うえる-」を開催します。今回は、その展示資料の中から「ケンザオ」と「田植縄(たうえなわ)」を紹介します。
「ケンザオ」は、田植えの時に苗の間隔を一定にするために用いたもので、木や竹でつくられていました。また、「田植縄」も苗をまっすぐ等間隔に植えるために用いたものです。枠に縄が巻き付けられており、その縄を伸ばして使います。これらは併用されることもあり、どちらも「正条植(せいじょううえ)」を行うための道具です。
「正条植え」とは、明治時代に普及した苗の植え方です。日当たりと風通しを良くするために、規則正しく植える方法が広められました。野洲市比留田出身の大岡(おおおか)利右衛門(りえもん)は、明治時代に正条植えの普及などにつとめ、農業技術の優れた指導者として知られます。上記の道具を使うこの植え方は、従来の方法と比べ時間はかかりましたが、秋の収穫量には大きな差がでました。
テーマ展では、上記資料を含む「ちょっとむかし」の春に使用する農具を展示します。今は機械化された作業も、昔は手作業によるもので、道具には当時の人々の知恵と工夫がつまっています。この機会にぜひご覧ください。
(市史専門調査員平優香里)
■春期テーマ展「ちょっとむかしの農具-たがやす、うえる-」
3月16日(土)~5月26日(日)
※期間中の休館日:月曜日(祝日・振替休日は除く)、祝日等の翌日(土曜・日曜日、祝日等の場合は除く)
※市民は入館無料(運転免許証やげんきカードなどをご提示ください。)
問い合わせ:歴史民俗博物館
【電話】587-4410【FAX】587-4413
<この記事についてアンケートにご協力ください。>