■三上藩主の遠藤氏が三上山に祀(まつ)った妙見(みょうけん)さん
仏教では北極星を妙見(みょうけん)菩薩(ぼさつ)という仏とみなし、国土を護り、災厄を消滅し、福寿を増す功徳(くどく)があるとされています。
かつて、三上山の中腹には「妙見さん」と親しまれた妙見堂がありました。
その歴史は、江戸時代の文化4(1807)年4月にさかのぼり、4代三上藩主の遠藤胤冨(たねとみ)が三上山に「妙見宮(みょうけんぐう)」を建立したことに始まります。
遠藤氏が妙見菩薩を信仰したのは、同氏が古代・中世に関東を拠点に活躍した千葉氏の一族であることに由来します。千葉氏は、合戦において窮地(きゅうち)に陥った際に妙見菩薩によって救われたという伝承を語り継いでいます。そのため、千葉氏とその一族は妙見菩薩を守護神として崇(あが)めています。
三上の妙見堂には、遠藤氏が安置したと考えられる妙見菩薩立像(写真)(※)が伝わっています。
しかし、令和6(2024)年3月に閉眼供養が行われ、妙見堂はその歴史に幕を閉じました。
今回の郷土史展は、妙見堂より博物館に寄贈いただいた文化財を通して、その歴史を紹介するものです。「妙見さん」と親しまれた妙見堂について知っていただくことで、地域の歴史と文化を考えていただく機会となれば幸いです。
(博物館学芸員 齊藤慶一)
※掲載写真は本紙をご覧ください。
■郷土史展「三上山の妙見さん」
会期:2月22日(土)~5月11日(日)
※期間中の休館日…月曜日(祝日・振替休日は除く)、祝日等の翌日(土曜・日曜日、祝日等の場合は除く)
※市民は入館無料(運転免許証やげんきカードなどをご提示ください。)
問い合わせ:歴史民俗博物館
【電話】587-4410【FAX】587-4413
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