■林業の最先端~デジタル化で林業の推進へ~
デジタル技術を活用したスマート林業は、これまでの林業のあり方に大きな変化をもたらしています。
▽未来を開く革新(DX化)
近年では、さまざまな分野でデジタル技術を活用し、作業の変革を図るDX(デジタルトランスフォーメーション)が注目されています。
林業分野でのDX化は、森林調査やデータ分析など、従来、人の手で行ってきた仕事を効率化し生産性を向上させることや、重労働や危険が伴う作業のリスクを軽減し安全な作業環境を実現することができること、新たなビジネスモデル創出など多くのメリットがあります。DXの実現につながる「スマート林業」は、情報通信技術やロボットなどを活用し、これまでの林業のあり方に大きな変化をもたらしています。
一方で、新しいシステムの導入や人材育成についての費用の負担、情報格差など課題もあります。これらの課題を克服し、DX化を成功させるためには関係者間の連携と、継続的な取り組みが不可欠です。
人材不足が課題となっている人吉球磨地域でも、林業のDX化は地域の活性化や持続可能な森林経営に貢献することが期待されます。
▽スマート林業のメリット
・高齢化と人材不足の解消…大人数で手作業で行っていた作業を大型の機械などを使用すれば1人でできるようになります。
・生産性の向上…作業の効率化や省力化が実現し、生産性の向上につながります。
・安全性の向上…危険な作業をロボットやドローンに任せることで、作業員の安全確保に貢献します。
・森林管理の最適化…ドローンなどで収集したデータを分析することで、森林の状況を正確に把握し、最適な管理計画を立てることができます。
人吉球磨の林業もスマート化!人吉球磨地域でのスマート林業の取り組み状況を県の担当者に聞きました。
■人材不足解消の一翼を担うスマート林業
熊本県県南広域本部球磨地域振興局農林部林務課長 小﨑(こざき)ジュンさん
近年人吉球磨地域の林業の現場は、深刻な人手不足に直面しています。そんな人手不足を少しでも解消するため「スマート林業」というDX化の取り組みを進めています。
具体例として、まず植林などの造林作業への大型ドローンの活用が挙げられます。人が容易に入れない険しい山地でも効率的に作業ができるようになり、人手もそこまで必要としないことから、非常に有効なものです。伐木などを伴う造林の場合は、大型の専門機械を導入する会社が増えてきています。人の手による作業に比べて大幅な効率化を実現しています。
次にドローンを活用した森林管理が挙げられます。森林の構造を把握するために小型のドローンで撮影し、画像解析ソフト「KUMIKI(くみき)」というシステムを使って森林の解析調査を行います。森林の状態を詳細に把握でき、より効果的な森林管理ができるようになっています。
スマート林業は、最新技術を駆使して林業の生産性を高め、人手不足を補うための重要な取り組みです。今後も技術の進化とともに、県もサポートしながら人吉球磨の林業振興の手助けになるよう活動していきます。
■私たちの大切なふるさとを守るためにー
森林は、私たちの暮らしを支えるうえで必要不可欠なものです。森はきれいな水を育み、空気を浄化し、災害からも私たちを守ってくれます。
人吉球磨地域の安全安心を守り、豊かな森林資源を次世代につなぐためには、「木を切って、木材として使って、切った後には植栽をし、森林を育てる」という循環が鍵となります。
いま、これからの林業を支えていく若者が人吉球磨にたくさんいます。彼らは、大切なふるさとを守るために、新しい技術を取り入れながら、森を守り、育て、未来へとつなげていくという使命を持って地域に貢献しています。
若い林業従事者が伝えてくれた豊かな森林を守っていくことの大切さは、私たち一人一人の生活につながってくるものです。森の魅力に気づいたり、興味を持ったりすること、また、紙や木材を大切に使うことで私たちも木を守り、森を守ることができます。その小さな行動が森林を未来へつなぎます。
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