■人吉球磨で希少な女性産業動物獣医師 堤 千佐子さん(鶴田町)
・つつみ ちさこ
昭和57年3月生まれ。人吉高卒。宮崎大学農学部獣医学科卒。平成19年からくま動物病院(球磨郡錦町)に勤務。現在、錦町を中心に30件の農家を担当している。
農家が飼育する牛や馬など産業動物の診断や治療を通し、食肉や牛乳といった生産物の安全と安心を守る産業動物獣医師。人吉球磨で希少な女性産業動物獣医師としてこの道17年になる。
幼い頃から動物好き。中学生の頃に漫画『動物のお医者さん』を読み、獣医師になりたいと思った。獣医学を学ぶために進学した大学は、畜産県として有名な宮崎県にある宮崎大。これまで接したことのなかった牛と出会い、治療や検査などを経験。産業動物を専門とする獣医師を志した。
卒業と同時に獣医師国家試験に合格。「この先生に付いて学んでみたい」。在学時に実習で出会った獣医師・原口道夫さん(享年69歳)が営むくま動物病院に就職した。主に診る動物は牛。農場に通い、診断や治療などを行う中で、どんな病気でも治そうと治療を極める原口さん。そのレベルにとても自分は到達できないと悟ったが、牛が病気にならない飼い方を農家と一緒に決め、農家の利益を最大限に伸ばすことが自分の役割だと心に決め、今に至る。
やりがいを感じるときは病気が減って牛が死ななくなったり、治療していた牛が元気になったりしたとき。「牛によって生活が成り立つ農家さんが、幸せな時間を持てるようにこれからも寄り添っていきたい」。牛をなでながらほほ笑んだ。
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