■球磨川くだりの船頭として13年ぶりに復帰した 豊原 彰さん(上林町)
・とよはらあきら
昭和60年7月生まれ。第二中では器械体操部、球磨工高ではカヌー部に所属。体を動かすのが好きで、スポーツショップ勤務の経験も。今も週3回のジム通いで体を鍛える。球磨川くだり株式会社運航管理課所属。
豪雨災害以降運休が続き、ようやく今年4月に運航を再開した球磨川くだりの清流コース。ゴールデンウイークは予約でいっぱいになるなど好調なスタートを切った川下りだが、舟を操る船頭は社員とОBのアルバイトを合わせて5人ほどと少ない。そんな中、今年1月に社員として13年ぶりに古巣に戻った。
21歳のときに知り合いの紹介で川下りの世界へ。高校ではカヌー部で球磨川に親しみ、船頭の仕事も肌に合って楽しかったが、安定した仕事を求めて6年後に退職。サービス業や建設業に就いたが、「船頭として不完全燃焼で退職し、離れてからも球磨川くだりの状況はずっと気になっていた」と振り返る。船頭が足りていないことを知り、「自分が戻ることで舟が1隻でも動けば」と復帰を申し出た。
「櫓(ろ)をひとこぎすると、舟が川の上をスーッと進む。これが気持ちよくて」。感覚はすぐに取り戻した。石を避け、流れを読み、自然を相手に舟を操るのが醍醐味(だいごみ)だ。運航管理課のスタッフとして以前に比べ操船以外の仕事も増えたが、自分の意見を経営に反映できる面白さも感じている。
「後輩ができたら、球磨川くだりの操船技術を後世に残していくのも自分の役割だと思います」。百年以上の歴史がある川下りの最年少船頭として、技術の継承も大きな使命だ。
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