■被災した漬物店をカフェとして再出発する 永尾 禎規さん(紺屋町)
ながお ていき
昭和38年11月3日生まれ。第一中、多良木高を卒業後に陸上自衛隊へ。24歳のときに帰郷して漬物製造の永尾商店に入社し、営業部長などを経て平成26年に3代目社長に就任。15歳から続ける合気道をはじめ、居合やタイ捨流剣術で汗を流すのが気分転換だとか。
令和2年7月豪雨で被災し、店舗兼自宅だけでなく、先代社長である父も失った。あれから4年、老舗の漬物店はおしゃれなカフェと宿に生まれ変わった。
昭和9年創業の漬物店「永尾商店」の3代目。豪雨災害では4メートルの濁流が紺屋町の自宅と本店を飲み込んだ。母は背負ってなんとか避難させたが、認知症があった父は頑として動かず、助けることができなかった。
その無念が晴れることはないが、「店を一人で守ろうとしたのかもしれない」と思い至り、本店の再建を決意した。球磨郡相良村にある工場は無事だったためすぐに製造を再開。本店の再建は人づてに支援の輪が広がり、建築業や飲食業などさまざまな分野の専門家が集まった。地元の人も観光客もふらりと立ち寄れる場所をつくりたいと、カフェを開くことに。試食を重ね、漬物との相性が良かったという揚げパンを看板メニューにした。2階は素泊まりの宿だ。
2~5月のプレオープン期間を経て店舗メンテナンスのため休業し、7月1日にグランドオープンを迎える。カフェの店名「ながとら」は、創業者で祖父の寅男さんから、宿の店名「誠屋」は父の誠さんからとった。創業の地で、祖父と父に見守られて新たな挑戦が始まる。
カフェの営業は水~日曜の午前11時~午後4時。問い合わせは【電話】22-2741
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