■現役最後の作品が「くらしの工芸展」でグランプリを受賞した 山上貢司さん(赤池原町)
・やまがみこうじ
昭和33年6月生まれ。人吉高から熊本商科大(現・熊本学園大)に進学。卒業後、福岡の専門学校に就職し25歳のときに帰郷。約120年続く「山上家具店」の3代目になり今年で42年目。最近は、週に3回ほどスポーツパレスで運動に励み健康づくりに取り組む。
日本伝統工芸展で4回入選するなど数々の工芸展で受賞を重ねてきたベテラン。「これまでの集大成」として出展した現役最後の作品が、県内最大規模の工芸品の公募展「くらしの工芸展」で見事グランプリを受賞した。受賞作品は約7百ものパーツを組み合わせ矢羽根模様を全体にあしらった「神代杉(じんだいすぎ)木画箱」と、奥球磨の黒柿と市房杉のひし形のパーツを組み合わせた「杉木画重箱(すぎもくがかさねばこ)」。両作品とも多数の木材を組み合わせた寄木細工で作られ、木の色合いの違いを利用して繊細な模様を表現した。
熊本県伝統的工芸品「人吉家具」の職人。25歳のときに父の下で木工の世界に入る。無名作家では家具が売れないと考え、昭和62年から工芸展や美術展に出展し木工作家として経験を積んだ。人間国宝(重要無形文化財保持者)中川清司さんに木工技法の一つである木画を学び、伝統的なデザインをアレンジした作品を作り続けた。数ミリに切り出した数百のパーツに番号を振り、図面上に並べていく工程は0・1ミリの狂いも許されない。
「まだまだ作品を作り続けたい気持ちはあるが、体が応えてくれなくなった」。手の震えと視力低下の影響で木画作品は作れないが、家具店は今後も続けるつもりだ。
受賞作品は、8月6日(火)~12日(月)に熊本県伝統工芸館1階展示室で展示される。
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