男女共同参画推進懇話会
副会長 上田 欣也(うえだ きんや)さん
■『50:50プロジェクトとは』
ことしのパリ五輪では、史上初めて出場選手が男女同数になったことで注目されました。この男女比率、実は大会ごとに上昇し、東京五輪のときは、女性選手の参加率は48・8%まで到達していましたが、ご存知でしたか。
今回は、男女の混合種目が東京大会から2つ増えて過去最多となる20種目で実施されました。
一方ボクシング女子では、性別をめぐる思わぬ事態も起き、SNSで誹謗中傷がありました。ジェンダーにかかわることは、人によって理解や許容度が大きく違います。
男女共同参画社会の捉え方は、当初と比べて、さらに広く深くなっているようです。
イギリスの公共放送BBCは『番組の出演者の女性割合を測定し、増やす』というアイデアから『50:50 The Equality Project』を2017年に始め、NHKも2021年から世界30カ国・50を超える組織とともに参加しているそうです。そこには、(1)変化をおこすためにデータを収集する(2)自分たちの裁量で決められる出演者を測定する(3)コンテンツの品質は妥協しないという3つの基本原則があります。
コンテンツとは番組の情報・内容のことですが、出演者の割合を数値で明らかにすることで、偏りがあれば、それを制作現場の担当者が認識し次のコンテンツ制作に生かすことを目的としたものです。
男女比50:50という数値が、公正に社会の多様性を示す物差しになるのかと疑問に思われるかもしれません。これについては、現在BBCが、人種や障がいのある当事者なども計測の対象に加えていることからも分かるように、客観的で明らかな数値目標を出発点として、男女共同参画社会の実現を通じてその先にある誰も取り残されない世界を目指すということだと私は考えます。
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