1 映画の日に寄せて
12月1日は「映画の日」です。2003年にアメリカン・フィルム・インスティチュートが選んだ「アメリカ映画100年のヒーローと悪役ベスト100」において、ヒーロー部門の第1位は誰だったと思いますか。アメリカ映画のヒーローといえば、バットマンにスパイダーマン、スーパーマン、そして、インディ・ジョーンズ、ジェームズ・ボンド等が思い浮かびますが、皆さんは誰を思い浮かべましたか。
さて、第1位に選ばれたのは、アメリカ南部が舞台の「アラバマ物語」の主人公、弁護士のアティカス・フィンチでした。それ、誰?と言いたくなりますが、なぜ彼が第1位なのか。
「アラバマ物語」は、黒人への差別意識が根強く残るアメリカ南部アラバマの小さな町が舞台で、白人女性ヘの暴行容疑で逮捕された黒人青年の弁護を引き受け、嫌がらせや脅迫等にも負けず、黒人青年は無実という信念で戦い抜く正義感、そして家族愛に溢れる弁護士の物語です。つまり、フィンチはアメリカの良心を体現した人物として非常に人気があるのです。人種に対する偏見や差別が残る、アメリカらしい選出なのかもしれません。
2 「差別」の現実を伝える映画
「映画」は娯楽の一つですが、時には私たちに差別の現実を分かり易く教えてもくれます。私が中学生の頃にテレビの洋画劇場で見た、「夜の大捜査線」や「手錠のままの脱獄」からは、黒人に対する偏見の根強い意識を思い知らされました。大人になって見た「遠い夜明け」「ドリーム」等もそうです。こうして幾つか作品を並べただけでも、世界において、まだまだ様々な人種に対する偏見や差別が存在することを分からせてくれます。ただ、映画は差別の現実をしっかりと伝えるだけではなく、希望も描いています。人間が作り出す差別は人間の手でなくせるはずです。理想かもしれませんが、理想がなければ、未来への希望もない気がします。そんなことを考えた「映画の日」でした。
※映画の日…日本で初めて映画が一般公開された日に由来する記念日。
問合せ:社会教育課 地域人権教育指導員
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