文字サイズ
自治体の皆さまへ

文化財保護の専門的な話

35/38

熊本県和水町

■ガンゼキによる補修
和水町には多くの文化財が存在しますが、最も気を遣う文化財の一つが装飾古墳である塚坊主古墳です。
装飾古墳とは、死者を埋葬する石棺や石室などに彫刻や彩色で文様を描いた古墳のことで、和水町瀬川にある塚坊主古墳では、石棺の内側3面に、赤と白で円文、三角文などを描いています。約1500年前の顔料が使われているため、保存のためには環境を一定に保ち、外部からカビなどの要素を持ち込まないことが大切です。
塚坊主古墳は、熊本地震によって亀裂が生じ、そこから雨水が装飾文様の近くまで侵入しました。被害の拡大を防ぐためには亀裂を塞ぐことが第一の対策法ですが、装飾古墳に対しては、使う材料にも配慮が必要になります。
そこで、亀裂の充填には、「ガンゼキ」という素材を使いました。ガンゼキは、熊本県宇土市の轟泉(ごうせん)水道に伝わる伝統的な素材で、宇土の赤土、貝灰、食塩、松汁(松の葉や枝を炊き出した液体)を混ぜて、臼(うす)の中で搗(つ)いて作られます。混ぜる分量は轟泉水道組合員の感覚によるところが大きく、硬さも施工する対象によって調整されます。ガンゼキは、自然のものを素材として、水の中でも固まるという性質を持っているため、湿度が高い古墳の中での補修のほか、眼鏡橋など水に面した文化財の補修にも活用されることが期待されます。

問合せ:社会教育課 文化係
【電話】0968-34-3047

<この記事についてアンケートにご協力ください。>

〒107-0052 東京都港区赤坂2丁目9番11号 オリックス赤坂2丁目ビル

市区町村の広報紙をネットやスマホで マイ広報紙

MENU