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[特集]自然と共に生きる農業 (3)

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熊本県宇城市

不知火町 角心 拓也(かくしん たくや)さん

■こだわらない新・有機
有機の栽培法でも、科学的・論理的に営農する「BLOF(ブロフ)理論」を体現するのが角心拓也さんだ。
これは、細胞をつくるアミノ酸や生命維持に不可欠なミネラル、生育を支える土壌を科学的に調整し、高品質や多収穫を目指す理論。「シンプルに理科です。光合成って何、堆肥はどうして入れるの、それを日々勉強しています。経験や勘は大事。でもそればかりだと時間がかかる。だから、こだわり過ぎません。同業の仲間との勉強会でデータを蓄積しています。」
海外での旅を通し食に興味を持ち、33歳で自ら農業経営をしたいと脱サラした角心さん。門をたたいた熊本県有機農業研究会で澤村さんと出会い、直感的に弟子入りを決めた。
「天職だと思いました。自分で1年間をタイムスケジュールして暮らしをデザインできる。自然の影響で現状維持も難しいですが、いい野菜を作るという目標のために新しいものを取り入れていきたい。」と話した。

三角サトウキビ活性会

■地域の黒砂糖作りが復活
江戸時代の1826(文政9)年、高橋伊左衛門(いざえもん)が困窮していた三角地区の地域振興のために始めたサトウキビ栽培。戦後、輸入砂糖や国の果樹振興に押し出され、いつしか栽培者は現同会会長の髙濱希好(きよし)さん一人に。
昭和60年、大岳小(現青海小)PTAで黒砂糖液をサトウキビの茎に絡めた「棒巻き」が話題となり、教育の場で黒砂糖作りの体験が始まった。さらに、農家の高齢化や担い手不足で、比較的作業負担が少ないサトウキビ栽培に再び注目が集まった。
平成25年には4つの集落や青海小、JAをメンバーに同会を結成。昔ながらの設備を備えた製糖所を新設し、冬場には県内各地から多くのサトウキビ生産者が訪れるように。
髙濱さんは「棒巻きを食べたら涙して喜んでくれた人も。今後も高齢者の健康づくりと黒糖製品の商品化に挑戦していきます。地元の子どもたちにとって‶故郷を思い出す味″になったら。」と活動の意欲は尽きない。

■持続可能な農業を目指す
◇集落営農グループ結成
8月、三角町の戸馳島では米の収穫が始まった。引き水が難しい環境で、梅雨時期にしっかり水をためられるようにと約40年間続く早期米生産。田植えをする4月から比較的温暖な気候を持つ、戸馳地区ならではの農業だ。
しかし、生産者13人のうち、8人が70歳以上。年々高齢化し、今後10年間でさらなる減少が見込まれる。さらに、作業にはトラクターやコンバインなど、1000万円以上する機械が何種類も必要。米の価格も下落する中、農家が単独で購入するには負担が大きい。
そんな危機的状況の中、7月、若手6人が集結して、「とばせアグリグループ」を結成。作業が難しい農家から受託して早期米の収穫を行う体制をつくった。
今は機械も各個人で充足しているが、不調時は皆で利用できるように機械の共有も進める予定だ。グループ代表の木村耕治さんは「グループがあれば、さまざまな意見が出るし、提案も生まれる。そして、何かあったときに頼ることもできる。」とメンバーの存在は心強いという。
「先祖から残してもらった土地を今後も絶対守っていきたいという思い。作業効率を考えると機械も大型化させたいし、そうするとお金がかかり過ぎます。コストを下げてこの先ずっと長く続けられるようにしたい。」と尾崎洋治さん。

◇希望ある農業に
吉田光一郎さんは「将来的には、自動運転などの新しい機械を取り入れて、誰でも米作りができるようにしたい。」と話す。今の子どもたちが戸馳で農業をしたくなるような魅力ある、そして、もうかる農業を目指したいと将来を見据える。
9月には、結成を記念して三角町の小・中学校の給食にと、精米した白米を90kg贈呈。グループの思いを込めた。
「戸馳印で安心して食べられる米作りをしたい。」その思いで持続可能な農業を目指す。

■地域計画を策定し、集落営農を始めませんか
―集落営農活性化プロジェクト促進事業―

現在、市内全域で進めている地域計画。策定後、集落営農を始める団体には、継続的な発展を目指す次の(1)~(3)の進み具合に応じ、最長4年間、最大1,000万円を支援する制度があります。

(1)集落ビジョンの策定※必須
(2)体制の確立
・中核となる若者などの雇用「上限100万円×最大3年間補助」
・組織の法人化「上限25万円補助」
(3)収益性の改善
・収益力の柱となる経営部門の確立
・共同利用する農業用機械などの導入
「2分の1以内補助」
※ポイント制での採択

(1)集落ビジョンのイメージ

問合せ:農政課
【電話】32-1641

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