人口減少。日本全国の多くの自治体がこの問題に直面しています。宇城市も例外ではなく、国立社会保障・人口問題研究所の推計では、約10年後、市の人口は5万人を切ると予測されています。しかし、その中でも市に魅力を感じて移住した人たちがいます。いつも目にすると「当たり前」と思いがちになる地元の魅力。今回は、3人の移住者に外から見た市の魅力を語ってもらいました。あなたのそばにもたくさんの魅力が眠っているのかもしれません。
■古民家に住む
やりたかったことが叶う場所、それが宇城市_。
井上真美(まみ)さんご家族
令和4年に東京から移住。築140年の古民家を改修し、自宅兼歯科診療所を開設。現在は夫婦と娘2人で暮らしている。
井上さんの歯科診療所は、クリニック建築では県内初となる2023年度グッドデザイン賞を受賞しました。
◇人の温かさに魅了され
味わい深い昔ながらの大きな梁が目を引く井上さんの自宅兼歯科診療所。元々移住に興味があり、いつかは東京を離れると決めていた。自分の歯科診療所を構えたい思いと、古民家に興味があった井上さん。
「歯科診療所を開業する目的で物件を探していました。移住するということで、とにかくネットでの情報収集を行い、気になったところは実際に現地に行ってみました。そんな中、私のやりたいことの条件が全てそろう場所が宇城市の今の物件です。見つけたときは、『ここしかない』と思い購入しました。でも、地域の人が私たちを受け入れてくれるかという不安はありました。」しかし、その不安はすぐに解消される。「元々この家に住んでいた人がご近所へのあいさつを一緒に回ってくれたのでスムーズに地域に溶け込むことができました。人と人が私たちをつないでくれて、そんなところも含めてこの土地柄が好きになりました。」と話す。
◇移住してからの生活
実際に暮らしてみて宇城市の良いところを聞くと、「野菜が大きくておいしい。アグリパーク豊野には朝採れたての野菜が並ぶのでよく行きます。自宅でバーベキューなどやりたいことを好きなときにできるところも良いですね。東京では予約もなかなかとれませんし、すぐにできるとは限りませんから。子どもたちも自分の部屋が持てたことと、豊かな自然の中で遊べることをとても喜んでいました。近所の人は優しいし、寛大。地区のことなど分からないことは一から丁寧に教えてくれます。」と笑みがこぼれる。
移住で大変だったことを聞くと「移住を考えているときに、しっかり情報収集をしていたので、移住後のギャップはあまりありませんでした。たまに方言が分からないときもありますが、それすら家族で楽しんでいます。移住はどういう心持ちで来るのかで実際に住んだときの感じ方が全然違うと思います。」と話す。
「宇城市の皆さんは今の生活が当たり前かもしれませんが、とても素晴らしい環境だと感じています。私たちにとって、これ以上ない生活です。もっとたくさんの人に宇城市の魅力を知ってほしいです。」と笑顔で話す井上さん家族。家族全員が幸せを感じることのできる移住ライフを満喫している。
◆空き家には補助金も使える! 空き家改修等補助金《上限100万円》
空き家バンクで物件を購入または賃借すると、改修費用が補助されます。
※予算に限りあり
補助率:2分の1または3分の1
※要件により異なる
対象:空き家の入居者・所有者
※宿泊施設やサブリース向けも可能
対象内容:水回り、屋根、残った家財の撤去・処分など
※外構工事などは対象外
■地元に帰る
働き方、子どもたちへの思いを再認識し、Uターン
七川竜寛(たつひろ)さんご家族
今年4月に夫・竜寛さんの地元である宇城市に家族4人でUターン。現在は竜寛さんの父母と一緒に暮らしている。
◇地元で大切な時間と体験を
今年の4月に転入した七川さん一家。夫の竜寛さんの地元である宇城市への移住を決意した理由は2つ。
1つ目はコロナ禍の時期に働き方について考えることがあったこと。「東京の会社に勤めていましたが、仕事柄、移動が多く、都心に住む必要はないのではないかと思うようになりました。」と話す竜寛さん。今も、東京の会社で働いているが、会社の理解もあり、リモートワークで出社している。
2つ目は、娘たちに祖父母や親戚と触れ合う時間を与えたかったから。「娘たちが自分の両親に会える回数はあと何回あるだろうと考えたときに故郷で過ごす時間は大事なものだと気付きました。宇城市では小さい子でも他人に親切にするという習慣が自然と身に付いている気がします。普段、家族以外の人と触れ合う機会が多く、それが生活の豊かさと、心の豊かさにもつながっているのではと考え、娘たちにもぜひ経験してほしいと思っています。」と話す。
移住の際に大変だったことは当時、子どもたちがそれぞれ高校、中学に進学するタイミングで、育った東京から離れたくない思いが子どもたちにあったことと、熊本のどの高校を受験すればよいか情報収集をしなければならないことだった。「娘たちには東京を離れたくない理由をしっかりと聞き、解決しました。受験の時も東京の塾から熊本の塾へ連絡を取ってもらい、情報収集。また、東京から熊本への引っ越し費用がとにかく高くて困りました。でも、移住の決め手になったのは県が行っている支援事業の存在でした。これが移住の決断を後押ししてくれました。」と当時を思い返す。
「宇城市は食べ物もおいしいし、野菜や果物が安いところも助かります。遊びに来てくれた人は皆さん気に入ってくれて、また来たいと言ってくれます。働き方が多様化し、地方に移住して仕事をする人がこれから増えていくと良いですね。」と話す竜寛さん。今回の移住は価値のあるものになった。
◆熊本県移住支援事業
熊本県内の市町村に転入した場合
※補助対象要件は他にもあります
補助額:
・2人以上の世帯…100万円
・単身…60万円
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