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〔議会だより第44号〕旧岩野小学校はどう変わる?~人工光照明で水耕栽培~

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熊本県水上村

11月22日(金)栃木県の一般社団法人那須烏山市(なすからすやまし)観光協会が運営する、人工光型植物工場いちご園「いちごの学校」を視察した。
ここでは、閉校となっている旧向田(むかだ)小学校の3階教室の一室が、人工光照明を使って水耕栽培する観光いちご園へと改修されており、廃校活用法としてはかなり斬新である。
イチゴの品種は「よつぼし」で、栽培が難しいとされる夏に温度や光を調整して栽培でき、市場にほとんど量が出ない夏イチゴを安定的に栽培するための研究施設になっている。
室内には高さ2.3m、幅3mの栽培ラックが6機、上下4段ポットに植えた1,000から1,500株の夏イチゴが所せましと並び、白色LEDに照らされていた。ポットの中身は土ではなく石綿(ロックウール)の培地で、そこにポンプで汲み上げた肥料入りの培養液が上段から下段に流れて循環する仕組みとなっており、土耕栽培と比べて水量が1/100とエコである。光合成を高めるための液化炭酸ガス装置、室内で飼育する黒マルハナバチを使った受粉、天敵昆虫(ミヤコカブリダニ)による害虫対策など、さながら総合化学による農業といった様相である。
このいちご園をモデルとして旧岩野小学校の利活用が進められていくこととなっており、実際に現地に赴おもむき、千葉大学の嶋村(しまむら)先生〔(株)ハンモ代表取締役〕に直接質疑を行ったことにより多くの疑問点が解消に至った。
今後は「水上村と(株)ハンモとの包括連携協定」に基づき、夏イチゴ、ワサビ、ハーブ類の栽培などが展開されることとなるが、いまだ研究事業の域を出ない面があることや、市場へ向けて実際の流通はどうかなど、どれだけの発展を見せるかは未知数である。効果を発揮するにはある程度の時間を要するだろうと想像する。
しかし、観光やSTEAM教育(理系の総合教育)の要素も含んでおり、高収益が期待できて人も呼べる「夢のある複合事業」としてポテンシャルは高い。マネジメントの手法にも左右されるだろうと考えるため、事業の進捗、効果、広報戦略など、今後も議会としてもしっかりと注目していきたい。

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