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農業の未来を見据えて 農業委員会

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熊本県氷川町

■農業委員会
農地が適正に利用されるための事務を担う行政委員会。農地がある市町村には原則設置されています。現在町の農業委員会は、14人の農業委員と13人の農地利用最適化推進委員で構成されています。

9月5日朝8時、立神公民館の前に農業委員の橋本淳一(じゅんいち)さん(下宮)、宮﨑武士(たけし)さん(立神)と農地利用最適化推進委員の橋本隆也(たかや)さん(川上)が集まりました。今日はこれから年に1度の農地利用状況調査に向かいます。この調査はいわゆる農地のパトロール。担当する地区内の農地を回り、耕作されていない農地がないか確認します。
地図を見ながら場所を確認し、耕作されているのか、管理されているのか、荒廃具合はどれくらいか、再生利用できるのかなど、去年の状況とも照らし合わせ、農地の状況を判断します。「農業委員の仕事の中でこの調査が一番大変」と3人は笑いながら口を揃えます。担当する宮原北地区にある農地は、おおよそ480ヘクタール。車1台が何とか通るような山間部から平野部まで、1日かけて農地の状況を確認していきます。
こうした地域の農地を守るために活動する農業委員会の仕事をご紹介します。

■農業委員会代表的な事務
▽農地の権利移動許可
農地の売買や貸し借りは自由に行うことができず、農業委員会の許可が必要となります。現地を調査し、月に1度の農業委員会の総会で審議した上で、許可の可否を決定します。農業委員会に関する法律が昭和26年に制定されたとき以来、変わらず規定されている農業委員会の顔ともいうべき業務です。

▽遊休農地対策
「遊休農地」とは、過去1年以上農作物の作付けがされておらず、今後も農地の維持管理や農作物が栽培が行われる見込みがない農地のことをいいます。前ページで紹介した農地利用状況調査などで把握した遊休農地は、所有者にその意向を確認し、適正な利用につながるよう働きかけを行います。

▽新規参入者の促進
農業を始めようとする人にとって、農地の確保は大きな課題の1つ。その際、地元の農地をよく知る農業委員は、候補地の選定や所有者との橋渡しなどを行う頼れる存在となっています。新規就農者が国の補助金を受ける場合、地域のサポート役の1人として農業委員を選定することが求められており、農地の確保以外にも、地域の相談役としての役割を果たしています。

▽地域計画の作成
今年4月の法改正により、町はこれから10年後に目指す地域の農地利用を示した「目標地図」を作成していきます。その素案を作成するのが、農業委員会です。地域が今後の地域農業や農地利用をどうするのかを反映させるため、農業者の意向を確認しながら進めていきます。

■農業委員会会長に聞く!
坂口誠一(せいいち)会長(若洲)
21年から農業委員を務める。副会長を3期務めた後、平成30年から現職。

―現在農業委員会が力を入れている取り組みについて教えてください。
非農地判断の方向性の明確化です。平成30年には50町だった非農地ですが、この5年で100町に倍増しています。新型コロナウイルスの影響で所有者とのやりとりがスムーズにできませんでしたし、後継者や担い手の不足という大きな課題もその背景にあるかと思いますが、これから町は、農地の未来を考える地域計画を作っていかなければなりません。対象となる農地を明確にし、その素地とするためにも町の方向性を今以上に明確にし、動いていかなければなりません。来年7月には農業委員会も改選となります。次の委員たちの活動がスムーズなものとなるようしっかり取り組んでいきたいと考えています。

―会長として心がけていることをありますか?
農業委員は農地という人の財産を扱います。そのことを念頭に置き、きちんと意見を言うことは常に心がけています。判断に迷う場合もありますが、法に則ったフォローを事務局がしっかりしてくれるので安心です。農業委員としての成り手不足も感じているところですが、こうした点に責任感をもち、町の農地について考え、担ってくれる人が増えてくれればと思います。
※1町は約1ヘクタール。

■農業委員会からのお知らせ
1.農地の適切な管理をお願いします
最近、耕作されていない農地(遊休農地)が増加しており、相談件数も増えています。遊休農地になると、害虫や害獣の発生による被害や不法投棄の原因となってしまい、周辺地域に悪影響を及ぼします。所有者または耕作者などによる農地の適切な利用・管理をお願いします。

2。農地の転用は事前にご相談ください
農地を建築物の建設(住宅など)や駐車場、資材置き場にするなど、農地以外の目的に利用することを「農地転用」といいます。農地転用をする際は、農地法に基づく許可が必要です。許可を得ずに事業着手すると農地法違反(無断転用)となり、原状回復や罰金刑が科される場合があります。農地法や農業振興地域に関する法律により転用を制限されることがありますので、転用をお考えの方は事前に農業委員会にご相談ください。

問合せ:農業委員会(農地課)
【電話】0965-52-5861

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