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町民文芸

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熊本県氷川町

■短歌・俳句
本紙を参照ください

■「雪国」VS「山の音」
法道寺 本田 花風
この作品のテーマが主人公の心理の動きそのものにある事は言う迄もないが、その中でも中心的な動きを示しているのは、菊子に対する愛情とも、憧れとも、思いやりとも言える微妙な心理である。そして、そのような信吾と菊子との心の通い合いを中心に、信吾の死に対する恐怖感、老いの諦めといった感情がそれと重層的な表現で書かれている。
評論家たちは、作品の心理描写に重きをおいた評論をするが、それを川端の「愛」の世界としてとらえている。しかし、修一と菊子が円満な夫婦であれば、信吾もこれほどに菊子への「愛」を感じることもなかったろうし、菊子も舅に対する「愛」を感じることもなかったであろうから、フィクションであってもこのような状況を描けば、文学の聖地を極めることになるのか不思議である。
「山の音」は二人の「愛」だけが全てではない。家族との暮らし、信吾の職場や馴染みの同僚や修一の関係者などとの関係を緻密に描き、鎌倉の自然の美しさを巧みに織り込み、その巧さは川端ならでの技巧であるだろう。

投稿先:〒869-4814 氷川町島地642番地
企画財政課宛(毎月5日必着)

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