■短歌・俳句
本紙を参照ください
■「雪国」VS「山の音」
法道寺 本田 花風
たとえ六十歳が老人であった時代であったとしても、「夢で菊子を愛したっていいではないか。夢にまで、なにをおそれ、なにをはばかるのだろう。」と思う信吾の若々しい生命に憧れる気持ちは密かに不倫の線を越えようとする。
映画によく有りそうな物語は、二度読んでもごく自然に胸に収まる「山の音」、今までの川端の作品が如何に生活とかけ離れたものであったかを改めて感じさせる。島村や駒子に比べると、信吾や菊子はずっと現実化され、穏和である。非現実の現実の域を脱し、現実の現実、即ち日常生活の中に作品の場を求めようとする方向に変わってきたのだろう。
投稿先:〒869-4814 氷川町島地642番地
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