町民文芸

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■短歌・俳句
本紙を参照ください

■「雪国」VS「山の音」
法道寺　本田　花風
島村と信吾、駒子と菊子二組の男女が織りなす物語ではあるが、その現実化された「山の音」の信吾は今でいえば人生の折り返しをちょっとばかり過ぎた年齢、であれば彼が美しい女に関心を持つことには何の抵抗もないところだ。菊子にしても優しく接してくれる信吾に単なる嫁の立場以上の男性への心情が生まれてもおかしいものではない。一方、島村と駒子の関係も旅先で出会った二人の関係もあり得ることであるが、この二つの物語で川端が語った物語には、彼の人生を投影して作品化しているのだろう。文学作品で男女を描かない作品もあるにはあるが、川端の作品にはすべて男と女が状況を変えて登場する。
「雪国」も「山の音」も主人公、島村と信吾、男二人が、即ち作者「川端」の人間性がすべてを語っているよう、物語も二人をとりまく人々の中に重要な立場の女があった。それを主人公の目線で人々を描く、これは川端の精神性に大きく繋がっているのだろう。比較は不要で会った。そのことは、彼の人生の裏側を描いた『日本文学文壇史』にその一面がよく書かれている。

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