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特集 もっと喜ぶ顔が見たい!「ボタマ」を続ける理由

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熊本県氷川町

第6回ひかわボタニカルマーケット開催

■このまま町のにぎわいがなくなるのを見ているだけでいいのか
ひかわボタニカルマーケットが始まったのは平成30年。例年3月3日と4日は、宮原振興局前から宮原小学校までの区間に、植木や花の苗木の業者や飲食など多くの出店が並ぶ「初市」が春の大きなイベントとしてにぎわいを見せていました。しかし、植木を扱う業者の減少やホームセンターの増加といった影響を受け出店者も来場者も減り、かつての活気をなくしていました。
氷川町商工会青年部は、当時初市の出店者でした。変わっていく初市の姿を見ながら、長年の出店者や毎年楽しみに来てくれる人たちがいる中で、このまま廃(すた)れさせてもいいのかという思いが高まったと言います。いろいろな業種が集まる自分たちが知恵を絞って昔のように活気溢れるイベントができないか、こうして商工会青年部が中心となり、新しいイベントが動き出しました。イベント名も「ひかわボタニカルマーケット」に刷新。ハンドメイドや自然素材などの出店を意図的に増やすなど、他のイベントとの差別化も狙いました。初市が新しいイベントに生まれ変わったというニュースは話題を呼び、当日会場には多くの人が押し寄せました。新しいにぎわいの誕生は、多くの人に町のこれからを期待させる新しい風となりました。
ひかわボタニカルマーケットは今回で開催も6回目となり、「ボタマ」の愛称もすっかり定着してきました。開催のたびに町内外から多くの人が訪れ、今や町を代表する大きなイベントの1つとなっています。
その年のボタマの内容は、実行委員長・副実行委員長を中心に、毎年ゼロから検討されます。今回の準備も6月から始まり、毎週水曜日の夜にそれぞれの仕事が落ち着いてから集まり、深夜まで議論が続くことも少なくありませんでした。
ボタマ終了後、今回の振り返りと今後について、話を聞きました。

■帰るまでずっと笑顔でいてもらうために
準備の中で大切にされたのは「足を運んでくれた人に、どうしたらもっと喜んでもらえるのか」という点。その視点から今回のボタマでは、前回からの変更や新たな取り組みが行われました。

▽よりラクに来てもらう
まず検討されたのが会場でした。今回、前回の竜北公園から会場が変更されましたが、副実行委員長の北村修(おさむ)さんはそのきっかけについてこう話します。「前回、自分たちは駐車場係だったんです。お客さんが次々に来てくれていることを感じる一方、会場から長い階段を上って疲れて帰ってきた高齢の方たちやベビーカーを使えずに困る親子の姿を見て、もっと改善できることがあると思ったんです」こうして駐車場を比較的近くに確保しやすい宮原振興局前に会場が決まりました。

▽客足を減らさない
これまでの傾向から懸念事項となっていたのが、午後になると客足が減ってしまうということでした。そこで考えられたのが「ピンクでハッピープロジェクト」です。ボタマのテーマカラーであるピンク色のものを身につけて来場した先着100人に500円の買い物券を配布するという企画で、開始時間を人出が減り始める13時に設定。その結果、予想を上回る150人を越える人が集まり、午後からの客足の減りもこれまでより緩やかになりました。
まちつくり酒屋でのワークショップも、雨が降っても滞在時間が短くならないようにと企画されたものです。海外絵本の読み聞かせや、ペットボトルの蓋や木の端材など捨てられるものを使ったアップサイクルワークショップなど、内容にもボタマらしさが感じられるようこだわったと言います。こうした取り組みは出店者からも好評で、次回の開催時期についての問い合わせがすでに届くなど、その満足度の高さもうかがえます。

▽話題作りはSNSから
昨今、情報拡散のツールとしてSNSが多用されるようになりました。ボタマでもインスタグラムを使い、出店者の情報や準備の様子、チラシの設置場所などが積極的に発信されました。当日は、フォトブースを設置。撮影した写真をSNSで発信してもらうことでオリジナルグッズをプレゼントする企画を行いました。今日の記念にとフォトブースでの撮影もにぎわいを見せ、終了時間までボタマの今を発信を続けることにつながりました。

■ボタマをもっと喜んでもらう今回の仕掛け
▽最初に重視された駐車場
会場を変更したことで、ベビーカーの親子や車椅子の人など、多くの人が会場に来やすくなった。

▽ピンクでボタマをさらに盛り上げた
小さな子どもから中高生、大人まで幅広い年齢層の人が集合。会場内いたる所にピンク色が溢れた。

▽雨対策が新たなにぎわいに
晴天に恵まれたものの、まちつくり酒屋には多くの親子が訪れ、ゆったりとした時間を楽しんだ。

▽積極的なSNSの活用
準備から当日までSNSを積極的に活用。にぎわい創出のため今後も欠かすことができないツール。

■「にぎわい」を通してつながりが生まれる みんなが喜んでくれるなら一生懸命にやる
▽さらなるにぎわいをこれからも
「たくさんの人に来てもらえればいいというだけでなく、他のイベントとどう差別化を図っていくのかは、毎年ずっと葛藤しています」副実行委員長の緒方大策(だいさく)さんは苦笑いを浮かべました。実行委員長の高田卓(すぐる)さんも「初市からボタマへとつないだこれまでを受けて、ボタマらしさとは何かを考え続けた半年でした」とうなずきます。次回の開催内容はこれから新しい体制で検討されていきますが、同じことをしていても足を運んでもらえない、ボタマらしさに加えてもっと氷川町らしさというのも意識していかないといけないと全員が口を揃えます。
回を重ねるにつれ、私たちにとって今年もボタマが開催されるということは当たり前になっているのかもしれません。ですが、実行委員会のメンバーは自身の仕事と両立させながら、自分の時間を割いてこの日のために走り続けてきました。それでも高田さんは「ボタマを通していろいろなつながりが生まれていて、喜んでもらえている。やるなら一生懸命やろうとやってきました」と笑顔を見せます。
にぎわいを自分たちで生み出そうとボタマが誕生したあの日の思いを大切にしながら、これからもボタマはさらなる広がりを見せてくれると思います。今後も吹き込まれ続ける息吹は、多くの人を巻き込みながら、町全体を上昇させる大きな「にぎわい」になっていくのではないでしょうか。

■今回話を聞いた人
ひかわボタニカルマーケット実行委員会(氷川町商工会青年部)
実行委員長 高田 卓(すぐる)さん(宮園・中)
副実行委員長 
北村 修(おさむ)さん(西上宮・左)
緒方 大策(だいさく)さん(南鹿野・右)

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