■先生や保護者の協力
中学生が伝統芸能継承活動をするにあたり、先生や保護者の協力が必要不可欠である。放課後や夜に練習する日もある。指導者の工藤維春さん(68・下城)や藤本尚さん(52・馬場)、澤田郵司さん(68・浅鹿野)は「先生や保護者からの協力があってこそ伝統芸能継承活動が成り立つ。特に夜間の練習では学校の体育館などを使用したり、保護者の送迎など、20年前と変わらない協力を得ている。皆さんの協力があってこそ生徒の熱意も高まる。生徒が一生懸命踊るので、指導者として教えがいがある。20年間、中学生の活動として伝統が脈々と続いていることがうれしい」と話しています。
■文化祭・里宮神社で披露
11月9日には湯前中学校文化祭で、11月15日には里宮神社秋季例大祭で伝統芸能を発表しました。当日は老若男女問わず、生徒の踊りを見学。生徒も練習の成果を発揮して、観客の心をつかむ踊りを披露しました。
発表を終えて、浅鹿野棒踊りの苗床昌幸さん(湯前中3年・野中田2)は「2年生のときよりうまくできた。中学校生活最後の伝統芸能で仲間と協力していい踊りができた。踊りを20年30年とつなげてほしい」、東方組太鼓踊りで頭を務めた村山匠人(たくと)さん(同3年・上村)は「演目の途中で太鼓が壊れたけど、みんなで最後まで踊り切れたたことがよかった。ずっとしたかった頭かしらができてうれしかった。中学校最後の演目で悔いが残らないように頑張った。後輩には自分の踊り以上の姿を見せてほしい」と話しました。
■本年度の活動を終えて、生徒会長の吉田楽々さんに話を聞きました
吉田楽々(よしだらら)(3年・野中田1)
▽最高の宝物
20年の活動を振り返って、中学生は伝統芸能の技術だけでなく、思いや心構えを学び引き継いでいます。壁にぶつかる悔しさもありましたが、同じ志を持つ仲間と協力して納得できるものになるまで練習を続けてきました。10回ほどの練習だったけど、文化祭や里宮神社秋季例大祭で堂々と披露できたことは一生心に残る最高の宝物になりました。3年間伝統芸能を見てきて、同じ演目でも披露する人で表現の仕方で違う演目に見えるところが伝統芸能の魅力です。難しいけどやりがいがありました」
▽踊りを終えて
もう終わりなのかという感じです。もっと踊りたい気持ちがあります。鈴を持って四方を向いて舞うので、立ち位置を意識して舞うことや独特の表現が難しかったです。
指導者に教えられたときは熱心に指導してくれました。後継者不足というところから、自分たちがしっかり受け継いでいくべきと感じました。
▽3年生から引継ぎ
1・2年生や小学生の皆さんには、伝統芸能を守り続けてきた人への感謝の気持ちを忘れず、活動を続けてほしいです。伝統を守り続けながら、自分たちの手で表現して、伝統芸能をよりよいものにしてほしいです。
■子どもたちの憧れ
文化祭の発表見学した小学生。髙橋悠人(ゆうと)さん(6年・上里1)は「浅鹿野棒踊りで武術を踊りに見立てて今も残っていること、東方組太鼓踊りが源平の合戦を現した踊りがすごいと思った。本町に古くから残る文化を受け継いでいきたい」と話しました。小学生の憧れは「東方組太鼓踊り」とのこと。現在は中学2・3年生中心で活動しているが、生徒が減少しているため、将来は中学1年生や小学校5・6年生も一緒に活動する日が来るのかもしれません。
■次の世代へ
生徒や保護者、学校の先生、指導者が一体となって続いている伝統芸能継承活動。今後も続けていくには町民の協力が必要不可欠です。本町の伝統文化を後世に残すために、生徒は伝統文化を学び、今日も踊る。
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