■アイヌの人々に関する人権 アイヌの人々の習慣や文化を尊重しましょう
▽「アイヌの人々」とは?
もともとは北海道だけではなく樺太(からふと)や千島(ちしま)列島・東北地方北部に先住していた民族です。人は動植物や火・天候・道具にいたるまですべてを敬い、あらゆるものに魂が宿ると考えて信仰していました。独自の言葉を話し、古式舞踊や木彫りの工芸など、豊かな自然の中で固有の文化を発展させてきました。札幌や小樽・知床(しれとこ)などアイヌ語が由来の地名は、道内市町村名のうち約8割もあるそうです。
▽どんな人権問題が…
明治以降は、アイヌの人々の生活を支えてきた狩猟や魚介類、海藻などを取ることが制限・禁止されたり土地を取り上げられたりしました。教育の場などでアイヌ語の使用が禁じられ、日本語を使うことを強制されるなどの同化政策も進められました。アイヌの人々は生活の基盤や独自の文化を失い、いわれのない差別の中で貧困にあえいできました。アイヌの人々に対する理解が十分でないため、偏見や差別の問題は依然として残されています。
▽問題解決に向けて
国は「アイヌ文化振興法」や「アイヌ施策推進法」により、問題解決のためにさまざまな取組を進めています。私たちは先住民族であるアイヌの歴史や文化、伝統、現状について正しく理解し、民族の違いに対する寛容さを身につけることが大切です。
日常生活の中で使われることは少ないといっても、日本には固有の言葉や文化を持つ人たちが住んでいます。アイヌの習慣や文化を尊重し、ともに生きる社会を築いていくことは、世界中の多くの民族や文化を尊重し、認め合える社会の実現につながります。
地域人権教育指導員 窪田龍記(たつき)
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