◆漏斗胸(ろうときょう)について
熊本市立熊本市民病院
小児外科 部長 奥村 健児
今回は胸のへこみが特徴的な漏斗胸という病気について、診断や治療法などを専門医にうかがいました。
◇漏斗胸とはどんな病気?
胸骨という胸の真ん中にある骨を中心に、胸がへこんでいる病気です。800人に1人の割合で発生し、男性が女性の3倍多いといわれています。原因は不明で、自然に治ることはほとんどなく、一般的に年齢とともにへこみは進行していきます。
◇漏斗胸の症状は?
胸のへこみによる美容上の問題のほか、肺炎などの呼吸器の感染を繰り返したり、心電図検査で異常がみられる場合もあります。また年齢が上がると運動時の疲れやすさや胸の痛みを訴えるようになります。そのほか、いじめの対象になる場合もあり、社会的な問題も指摘されています。
◇漏斗胸の検査は?
胸のレントゲン検査に加えて、CTで胸のへこみの程度を客観的に評価し、心電図で心機能を評価します。また呼吸機能検査で肺活量を測定します。
◇漏斗胸の治療法は?
基本的には手術を行い、手術の時期としては小学校高学年ごろが推奨されています。手術方法については、以前は胸骨を裏返す手術や胸骨と肋骨の間の軟骨を切除する手術などが行われましたが、侵襲が大きいため現在ではほとんど行われていません。現在はナス手術という金属のバーを胸に埋め込んで胸の形を矯正する手術が主に行われています。この手術ができる施設は限られており、手術に進む前に専用器具で治療が行えることもありますので、専門医のいる施設へご相談ください。
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