◆胃がんについて
熊本市立熊本市民病院
消化器外科 部長 生田 義明
胃がんは日本人に多いがんの一つです。今回は胃がんの診断・治療のポイントについて専門医にうかがいました。
◇胃がんとは?
胃がんは胃炎や萎縮粘膜から発生し、ヘリコバクター・ピロリという菌が大きく関わっています。近年、日本での胃がんの罹患率と死亡率は減少傾向にあります。これはピロリ菌の除菌による予防、検診の普及による早期発見・早期治療の効果といえます。しかし、新型コロナウイルス感染症で2020年の検診受診率が大きく低下した結果、進行胃がんの発見が増加していると報告されています。
◇胃がんの症状は?
胃がんの初期症状はほとんどありません。進行すると腹痛、不快感、胸焼け、食欲不振などの症状が出ることがありますが、進行しても症状が見られないこともあります。
◇胃がんの治療は?
胃がんと診断されても、粘膜に限局した早期のがんであれば内視鏡切除の適応となり、胃カメラで観察しながらがんを切除する治療を受けられます。進行したがんであれば手術(開腹、腹腔鏡手術)の適応となり、遠隔転移などがある進行がんでは抗がん剤治療も必要です。
◇胃カメラ検査による胃がん検診の重要性は?
胃がん検診を受けることで、胃がんによる死亡率が20%も低下し、特に胃カメラ検診を複数回受けることで80%まで低下させることができるという結果が報告されています。胃がんの予防には定期的な胃カメラ検診が強く推奨されますので、ぜひ検診を受けてください。
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