■市民公開講座からのお知らせ
第32回市民公開講座:ありふれた病気・肺がん
くまもと県北病院 腫瘍内科部長 牛島淳(うしじますなお)
がんは1981年から死因の第1位で、最近では総死亡の約3割を占めます。3人に1人が癌で亡くなる計算となります。癌の臓器別死亡率を見ると、2022年では肺癌は男性で第1位で、女性は第2位で、男女合わせて第1位です。癌で死亡される24%が肺癌が原因で臓器別ではトップです。
胸部レントゲン、CT、PETの画像診断と気管支鏡下生検での病理診断で診断を行い進行度を診ます。進行度はI期〜IV期でより細かく分類されており、11段階に分かれます。治療は外科的治療、内科的治療の大きく2つに分かれます。I期〜II期は外科的治療、III期~IV期は内科的な治療を行います。内科治療は、抗癌剤治療±免疫療法、分子標的治療、化学放射線治療、緩和療法などに分かれます。分子標的治療の適応になるかどうかは生検組織で癌細胞の遺伝子を診る事によって決定します。同時に免疫療法の効果を予測する因子を調べます。患者さん毎に癌の特性に合わせて個別化医療を行います。
肺癌はポピュラーな病気で喫煙が原因となる事が多いですが、喫煙していない人にも起こりますので油断は禁物です。長引く咳・痰、血痰、胸痛・背部痛、声のかすれなどの症状が起こる人もいますが、症状が出る時には進行している事が多く、手術出来る肺癌は殆ど無症状です。早期に発見するためには定期的な検診が必要で、可能であれば胸部CTを撮る事が望ましいです。
問合せ:地方独立行政法人くまもと県北病院
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