■くまもと県北病院の災害医療への取り組みについて
くまもと県北病院 災害派遣医療チーム
看護師 林(はやし)ひとみ/看護師 森崎恵子(もりさきけいこ)
このたびの令和6年能登半島地震により犠牲となられた皆さまへのお悔やみと、被災された皆さまへのお見舞いを心から申し上げますとともに、一日も早い復旧・復興をお祈り申し上げます。
先日の第28回市民公開講座には多数のご参加をいただきありがとうございました。今回は「くまもと県北病院の災害医療への取り組みについて」と題し、有事において当院が担う大切な役割を知ってもらい、地域の皆さんと災害医療を考える機会にするべく、先の能登半島地震での活動報告を交えてお話しさせていただきました。災害派遣医療チーム(以下「DMAT」)は医師、看護師、業務調整員で構成されています。当院では3チームを保有し「平成28年熊本地震」や人吉球磨に甚大な被害を与えた「令和2年7月豪雨」、そして「令和6年能登半島地震」で活動しました。
今回の能登半島地震では1月24日に出発し、大雪による路面凍結や地震による悪路の影響を受けて到着までに2日を要し、1月26日より公立穴水総合病院で5日間活動しました。病院は断水し、一部の機能は維持していましたが、職員も被災しており、十分な休息が取れず入院の受け入れも困難な状況でした。そのような状況下で、私たちは主に救急外来の診療に当たりました。受診者の中には、入院を希望する患者さん・ご家族がいましたが、支援側として病院の現状を考えると、入院受け入れは難しく、即答できる状況ではありませんでした。しかし、それでも病院側は快く入院を受け入れてくださり、入院できる旨を患者さん・ご家族に伝えると、不安気だったのが涙を浮かべて安堵の表情に変わりました。病院スタッフや被災者双方にとってのより良い支援にジレンマを感じ「これで良かったのか」と今でも考えます。
今後も病院基本方針の一つである「救急・災害拠点病院としての機能を推進します」に従い、地域の医療機関や関係機関との連携を強化して、地域全体の災害対応力の向上に努めてまいります。
問合せ:地方独立行政法人くまもと県北病院
【電話】73-5000
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