清岳こう文庫からおすすめの詩人を紹介します
◆齊藤貢
思い出や絶望、憤り、悲しみを語る人です。「私」だけのものではない、東北の、福島の、あの地震・津波・原発事故以来の、みんなの思い出や絶望、憤り、悲しみを。そんな時、人は耳をすませ、頭を垂れるしかありません。その語り口があまりにも静かで、終わりの物語が出発点になっているからです。そして、人は立ち上がろうとする時、直接的な、装飾や幻想をかなぐり捨てた言葉を杖に一歩を踏み出すものだというメッセージが聞こえてきます。峠三吉が被爆から立ち上がろうとした時のように。
▽推薦詩篇
・「覚悟」「罠」『夕焼け売り』 思潮社
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