清岳こう文庫からおすすめの詩人を紹介します
◆佐川亜紀
佐川氏の詩集はどれも、氏の真っすぐなまなざし、きりりと結んだ口元を思い出させます。自分の命を、日韓の歴史の河を、真剣に生き、泳ぎわたっている人なのです。韓国語の美しい音を記す詩人でもあります。
▽推薦詩篇
「六月の乳の風」「女文字」「灰の家」『返信』 土曜美術社
◆佐々木洋一
アナーキーな詩風が大きな魅力の詩人。ただ、氏のアナーキーは知識によって身についたものでなく、家族の歴史の中から、北方領土は国後島から引き揚げ、東北に生きる生活を通して身についたもののように思えます。「駄菓子屋やっていた親が空くじばかり作っていた。」、少年の頃からごまかしを嫌悪した姿勢が、今日の詩人の礎となっているようです。ただ、氏自身は、このような評に納得されないかもしれません。氏は北国の高原の村でしたたかに、しなやかに生きる者の詩篇をつぎつぎに編み出してやむことがありません。それは、「生」への限りない愛情に満ちているからです。
▽推薦詩篇
「未来ササヤンカの村」「ぼくのお兄ちゃんは佐々木洋造兄」「それっ ササヤンカの森から」『佐々木洋一詩集』 思潮社
「あかんべえ」「行方」『ここ、あそこ』 土曜美術社
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