■たくさんの人に愛される あらおMADEのものづくり
情熱を込めた人たちの手によって生み出され、多くの人々に愛される、あらおMADEのものづくり。つくり手は新たなものづくりに挑戦した人や伝統技術を守り続ける人などさまざま。作り手となったきっかけや、ものづくりへの想いを伺いました。
◆「故郷の畑に景観美を」 オリーブに託した願い
オリーブオイル 中川オリーブ農園 ○megane(マルメガネ)
◇第2の人生に挑む 荒れた故郷の再建
住宅地を抜けた先、丘の上に佇むカフェレストラン『中川オリーブ農園 ○megane(マルメガネ)』。お店の階段を上がると見事なオリーブ畑の風景が迎えてくれます。園主の中川孝(なかがわたかし)さんは、長年大手家電メーカーの技術者として働いていましたが、荒れ果てた実家の農地を目の当たりにして〝このままではいけない〞と58歳で帰郷。自分にできることを模索する中で脳裏に浮かんだのは、出張で訪れたアメリカやイタリアで目にしたワイナリーの風景でした。「農園を眺めながらワインを飲む。とても贅沢な空間でした」と話す中川さんは、木々に囲まれた南向きのなだらかな斜面の農地に可能性を感じ、区画整理や農地の開墾を学ぶために農業大学校へ進学。その翌年には専門学校で料理を学びます。当初はワインの原料となるぶどう畑を目指していたものの、栽培から醸造まで手がけるにはコストも時間もかかりすぎてしまう。そこでイタリアのぶどう畑の横に植えられていたオリーブの樹に着目。「産地で有名な香川県の小豆島(しょうどしま)と比べても気候的な相性は良さそう。オリーブなら思い描く農業をできるかもしれない」と、日本オリーブオイルソムリエ協会の資格を取得。現在は約3ヘクタールの広大な農園で、25品種1000本以上のオリーブを育てています。
◇持ち前の探究心で叶えた理想の空間
ほとんど農薬を使わずに育てるオリーブで作る自家製オイルは、生ジュースのようにフルーティな味わいが自慢です。店頭では名物の「モンスターサラダ」をはじめ、多彩なオリーブオイルを味わえます。「収穫時期によって味わいが変わるオリーブの自然なおいしさを楽しんでほしい」と話す中川さんは、飽くなき探究心で叶えた美しい景観の中で環境にも人にもやさしい営みを行っています。
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