■三つの舞台 江頭 実
菊池松囃子能場は江戸時代からの歴史的建物ですが、この能場でわずか1週間のうちに、3つの異なる舞台が私たちを楽しませてくれました。一つは御松囃子御能の奉納。南北朝時代から伝承されてきた伝統芸能で、国の重要無形民俗文化財に指定されています。
その翌日には、舞踊団花童andはつ喜による本格的な日本舞踊公演が行われ、前日とは全く異なる華やかな雰囲気に包まれました。昨年からほぼ毎月1回無料で披露しているものです。
その前週には、シェークスピア4大悲劇の一つ「ハムレット」が上演されました。熊本の劇団ゼーロンの会によるもので、昨年に続く2回目の公演です。登場人物7人中6人が非業の死を遂げるという有名な復讐劇。当日は嵐のような天候と演者の鬼気迫る演技とが相まって、効果音楽のように突風が吹き、将軍木の枝葉がザワザワと騒ぐと、目の前で惨劇を目撃しているような臨場感で、身の毛が逆立ちます。1年間の稽古で公演はこの1回のみ。二度と再現することのできない、正に一期一会の感動に包まれました。
こうした松囃子能以外での能舞台の活用は、市が積極的に進めているものです。文化は人の心を深くつかみ惹きつけます。この能場は唯一無二の魅力的な空間です。山鹿市の八千代座のように、演劇や音楽演奏などの文化を通じ、多くの文化ファン・菊池ファンが集い交流する場に育てば、市の進めているウォーカブルシティ(食・温泉・歴史文化を歩いて楽しむまち)として、まちなかの活性化に大きな役割を果たすと期待しています。無限の可能性を持った空間であり、もてなす役者は市民の皆さんです。
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市長の部屋から「メッセージ」
【URL】https://www.city.kikuchi.lg.jp/q/list/305.html
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