■Scene2 走り出した学生たち
知ってほしい―
私たちが大好きな佐野のこと
菊池佐野区に通い続ける中で、学生たちは地域に魅了されます。「きれいな景色に、おばあちゃんのだご汁、大好きな佐野のことをみんなに伝えたい」。若者たちは“佐野ファン”獲得のために走り出しました。
◇きっと好きになってくれる
私たちが地域のためにできることは何だろう―。活動を続ける中、農業ボランティア以外にも支援できることはないか考えていた学生たち。今年3月に熊本大学を卒業したサークル元メンバーの東颯汰(ひがしそうた)さんは当時を振り返ります。
「佐野の皆さんは、いつも僕たちを優しく受け入れてくれてすごくうれしかった。もっと地域の力になりたいと思ったんです」
昨年10月、サークルメンバーを中心に「佐野ファン倶楽部」を発足。菊池佐野区の農作物ファンを増やすこと、交流資金を調達し地域との継続的なつながりをつくることを目指してクラウドファンディングに挑戦しました。
「ここには美しい棚田の風景やおいしい農産物もある。ここを知ってもらえれば、好きになってくれる人がもっと増えると思いました」
◇地域に恩返しができた
目標額は80万円。「最初は資金が全然集まらなくて大変でした。でも決めたからには最後までやりきりたかった」と東さんは話します。チラシ配りやSNSでの情報発信の他、企業へ直接営業に出向き思いを語ることもありました。
手探りの活動の中、ついに目標額を達成。「佐野の皆さんはクラウドファンディングの成功をとても喜んでくれました。思いに応えられてホッとしましたね」
返礼品は金額に応じ、今年収穫したコメとクリを届けた他、地区の景観や郷土料理を紹介する「季節のお便り」も全員に送付しました。
大学生の取り組みはマスコミにも取り上げられ、大きな反響を得ました。「クラウドファンディングが成功したことで、多くの人たちに佐野のことを知ってもらうことができました。少しは恩返しができたかな」と手応えを感じています。
◇先輩の思いを引き継ぎたい
今年11月に開催された大学祭では、さらなる“佐野ファン”を増やすため、菊池佐野区で収穫されたコメとクリを使った「クリ高菜ご飯」を販売。約500パックが完売しました。
「収益は佐野の皆さんとの交流資金に使いたい」と話すのはサークル現メンバーの陣じんあかりさん。「私たち学生にとっても貴重な体験になっています。先輩たちの思いを引き継いで、これからも活動を続けていきたいです」
今後は地元の資源を使いお金を稼ぐ仕組みをつくろうと、菊池佐野区で収穫されたコメのパッケージデザインの作成や、農産物の公式オンラインショップを開設予定です。
学生たちの思いは、次の世代に受け継がれています。
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