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人権・同和教育シリーズ(220)

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熊本県菊池市

■正しく学ぶ部落差別の問題
地域人権教育指導員 宮川淳一(みやがわじゅんいち)

□正しいことを正しく学ぶ
昨年はコロナ禍も落ち着き、これまで中止していた事業を再開することができました。例えば、ふるさと懇談会です。地域が主体となり地域の実態や課題に沿うよう、7年前から実施しています。その中で感じることは、参加者の人権意識のレベルが確かに高まっていることです。
どうしてなのか考えてみると、以前に比べ、テレビをはじめとするメディア(情報を伝えるためのもの)から多くの情報が発信されているからかもしれません。役に立つ情報もたくさんありますが、人を批判することで終わってしまっている面も数多く見かけます。何が正しくて、何が間違っているのか、迷うのは私だけではないと思います。
では、どうすれば、正しいことを判断できるのでしょうか。正解はないのかもしれませんが、学校教育の中で、正しいことを正しく学ぶことが、よりよい方法の一つではないでしょうか。

□部落史の見直し
市内の小中校では、どんな内容の歴史学習や社会科学習をしているのか紹介します。現在、身分制度の解釈が違ってきています。6年生の教科書「新しい社会6歴史編」(東京書籍)では、次のように記載されています。

人々のくらしと身分
江戸時代の社会は、支配者である武士をはじめ、百姓や町人など、さまざまな身分の人々によって構成されていました。(中略)百姓や町人とは別に厳しく差別されてきた身分の人々は、仕事や住む場所、身なりを百姓や町人とは区別され、村や町の祭りへの参加をこばまれるなど、厳しい差別のもとにおかれ、幕府や藩も差別を強めました。これらの人々は、こうした差別の中でも、農業や手工業を営み、芸能で人々を楽しませ、また、治安などを担って、社会を支えました。

現在では、「士」「農」「工」「商」は全ての職業を表す意味で、身分制度を表すものではなかったというのが一般的な考えとなり、教科書では扱われていません。10年ほど前からは「士農工商」という言葉は小中高校の全ての教科書から姿を消しました。
また、百姓や町人とは別に厳しく差別されてきた身分の人々についても、社会を支えてきたことが表記され、大事な役割を担ってきたことが分かります。
そして、その後の家庭教育や社会教育で学びを続けていくことが、人権問題解決に向けたアップデート(最新のものに更新すること)につながると考えます。私たちの周りでは、これまで当たり前だと思われてきたことが、根拠のないことだったと気付くことも多いのではないでしょうか。
部落差別をはじめ、さまざまな人権問題解決のためには、正しい理解が正しい行動につながるのです。今一度自分を振り返り、良い一年にしてみませんか。

問い合わせ先:人権啓発・男女共同参画推進課
【電話】0968-25-7209

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