■事業者の「合理的配慮の提供」が義務付けられます
地域人権教育指導員 中原博昭(なかはらひろあき)
▽共生社会の実現のために
「障害者差別解消法」は、障がいのある人への差別をなくすことで、障がいのある人もない人も共に幸せに生きる社会(共生社会)をつくることをめざした法律です。この法律を基に、市役所や学校といった公共機関や交通機関などでは、スロープが設置されたり筆談や読み上げで手続きを説明したりしています。
市でも、毎月第2・第4(木)の午前9時から正午まで、市役所本庁舎の総合案内に手話通訳者が配置されています。
このように、障がいの有無にかかわらず、車椅子を利用するときや見えづらさ・聞こえづらさを感じるときでも、安心して公共機関などが利用できるよう、誰にでもやさしい取り組みが進められています。
さて、今年4月から、改正「障害者差別解消法」が施行されました。施行により、公共機関などだけでなく、企業や団体、店舗などの事業者にも「合理的配慮の提供」が義務付けられました。
▽社会的なバリアをなくそう
社会的なバリアとは、障がいがあることで生じる制限や制約です。
例えば、車椅子を利用しているとき、階段だけでは2階に上がることはできません。エレベーターが設置されていれば、一人で移動することができます。
同じように、スロープがあればバスを利用できるなど、社会的なバリアをなくすことで、できることが増えていきます。
▽合理的配慮の提供とは
この法律では、障がいを理由として、サービスの提供を制限したり、障がいのない人には設けない制約をつけたりすることは禁止されています。さらに、事業者に社会的なバリアをなくしていく取り組みを進めることが求められています。
では、合理的配慮の提供とは、どのようなことをいうのでしょうか。
例えば、飲食店で車椅子を利用している人から「車椅子のまま食事したい」と申し出があったとき、事業者はその人と話し合い、車椅子のまま食事できるスペースを確保することが合理的配慮の提供の一例です。
車椅子のまま着席できないときは、事業者は申し出た人と対応案を話し合い、利用できるように工夫することが求められます。
障がいの状況は一人一人異なりますので、事業者は障がいの特性や合理的配慮の具体例を学び、障がいのある人と話し合い、状況を理解して対応案を検討する義務があります。
詳細は、内閣府から資料が提供されています。左記二次元コード(本紙参照)よりご覧ください。
問合せ:人権啓発・男女共同参画推進課
【電話】0968-25-7209
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