廃校になった龍門小学校跡では、国内外で活躍するアーティストが入居し、創作活動を行っています。今月号では、その成り立ちと入居者たちの取り組みを紹介します。
■美術館に様変わりした思い出の旧校舎
竜門ダムを見上げる場所にある旧龍門小学校。児童減少を理由に平成25年、地域住民に惜しまれながら閉校しました。
思い出の詰まった旧校舎が“美術館”に様変わりしたのは、3年後。平成28年11月の「菊池アートフェスティバル」です。当時、地域おこし協力隊だった橋本眞也(はしもとしんや)さんが「菊池をアートで活性化したい」と企画したのがきっかけでした。自然豊かな風景が「芸術の里」のイメージにピッタリだったといいます。
当日は県内外から約70人のアーティストが参加。出品数は300点を超え、教室や廊下には絵画や立体作品など、さまざまな作品が並びました。
他にもアートパフォーマンスや作品作りを体験できるワークショップなど、多種多様なアート作品が一堂に会し、4日間で来場者は6千人を超えました。
「学校の文化祭のようで懐かしい気持ちになれた」「閉校して寂しくなった校舎がにぎわう姿を見て、とてもうれしかった」と来場者からの評判も上々。山あいの地区に集客を果たしたアートフェスティバルは廃校活用の事例としても注目を集めました。
■地域と共に歩み続けるアーティストスタジオ
旧校舎を常に人が出入りする場所にしたいと、平成30年から「アーティストスタジオ」に生まれ変わりました。現在は7人のアーティストが創作活動を行っています。
入居者の中には市民向けの絵画教室を開いたり、市教育委員会が主催する「キクロスまつり」でワークショップを行ったりするなど、住民との交流も進んでいます。
アーティストたちが地域貢献の一環として企画した「オープンスタジオ」も好評です。当日は全員が集合し、作品の紹介や活動報告を行います。
多くの人たちに親しまれた龍門小学校は、形を変えても地域の皆さんと歩み続けています。
■龍門小学校の歩み
明治7年11月 公立龍門小学校設立
昭和33年8月 菊池市立龍門小学校に改称
昭和45年4月 現在の場所に龍門小学校が移転
平成25年3月 児童減少により閉校。138年の歴史に幕を下ろす。
閉校式の会場に設置されたタイムカプセルの受け付けポスト。埋められたタイムカプセルは2033年に開封される予定です。
平成27年6月 「集落・定住支援センター」設立
平成28年11月 菊池アートフェスティバルvol.1 開催
平成29年11月 菊池アートフェスティバルvol.2 開催
平成30年5月 「龍門地域活性化支援センター」に名称を変更。アーティストスタジオ、サテライトオフィスを開設する。
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