■福岡県小郡市(おごおりし)
小郡市は、筑紫平野から福岡平野へ抜ける二日市地峡帯の南出口に位置します。南北朝時代には、南朝方と北朝方が雌雄を決した大保原(おおほばる)合戦(大原合戦、筑後川の戦い)の舞台となりました。
今回は、合戦を題材にした作品と詩を紹介します。
▽大原合戦図屏風
菊池武光(きくちたけみつ)を中心とした南朝方が、逃げる北朝方の兵士を追う様子が描かれた屏風です。
作者は、御船町出身の日本画家・甲斐青萍(かいせいひょう)です。大正・昭和の熊本日本画壇をリードした人物の一人で、歴史画に優れ、菊池一族を題材にした作品も多く手掛けています。
この作品がいつ作られたか定かではありませんが、小郡市松崎出身の郷土史家栁勇(やなぎいさむ)氏が熊本在住時(戦時中)に入手したもので、直接依頼して描かれた可能性も考えられます。
平成21年に合戦から650年を記念して小郡市へ寄贈され、現在は合戦の日(8月6日)前後に小郡市埋蔵文化財調査センターで公開しています(今年は8月12日(月)振休まで)。
〔「大保原合戦」については本紙をご覧ください〕
これは文学士・佐々木信香(ささきのぶか)氏が書いた「大保原合戦」の一節です。
詩中に「あゝ星うつる六百年」とあることから、大保原合戦があった南朝正平14年・北朝延文4年(1359)の600年後、昭和34年頃に作られたと考えられます。
この詩は、小郡市周辺の小学校で騎馬戦の時などに歌われていたそうですが、今では耳にする機会はなくなりました。しかし、それが歌われていた時代があり、現在も懐かしむように口ずさむ市民がいることから、大保原合戦が身近な歴史であったことが感じられます。
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