うっそうとした森の間を澄みきった水がゆったりと流れる菊池渓谷。隈府から車で約30分。真夏でも涼しい渓谷は、早朝から多くのカメラマンたちでにぎわい、水辺で遊ぶ子どもたちの声が響いていました。
渓谷内には大小さまざまな滝や瀬・渕があり、林野庁が制定する「森林浴の森日本百選」に選ばれ、「日本の滝百選」の一つ「四十三万滝」など、見どころも多くあります。阿蘇くじゅう国立公園内の標高500~800メートルに位置し、天然生広葉樹で覆われた森と阿蘇外輪山から湧き出した伏流水が変化に富んだ景色を創り出しています。
春は冬の眠りから覚めたようなまぶしい新緑、秋は渓流に寄り添うように広がる紅葉、冬は全山に咲く霧氷の花など、四季を通じて訪れる人々の心を癒やしてくれる場所です。
年間約12万人が安らぎを求めて訪れる菊池渓谷は、平成29年に菊池川流域日本遺産の構成文化財の一つとしても認定されています。今月はその魅力と取り組みについて紹介します。
※詳細は本紙をご参照ください。
■楽しく安全に散策してほしい
菊池渓谷を美しくする保護管理協議会 岡本政秀(おかもとまさひで)さん
協議会では、ゴミの処理や遊歩道の整備などを行っています。私自身、九州内のいろんな渓谷に行きましたが、菊池渓谷の景色が一番好きです。市街地からも近く、手軽に散策できる場所は、西日本でも多くないのではないでしょうか。ぜひ多くの皆さんに渓谷の自然を見てほしいですね。
自然を守っていくことはもちろんですが、来てくれた人たちがけがなく散策できるようにするのも私たちの仕事です。これからも美しい渓谷を安全に楽しく散策してもらうために、協議会が一丸となって、活動を続けていきます。
■渓谷の玄関で皆さんをお迎えします
菊池渓谷で長年ヤマメの塩焼きを販売 後藤英明(ごとうふさあき)さん
40年以上、菊池渓谷でヤマメを焼き続けています。今年は特に気温が高く、渓谷に来る人が多いと感じています。大切にしているのはお客さんへの声掛けです。「いってらっしゃい」「おつかれさま」と行き来する皆さんとコミュニケーションをとっています。
うちのヤマメは、本来の味を楽しんでほしいから塩は少なめ。焦げ目が付くぐらいにしっかり焼いています。食べた人が「おいしいよ」とヤマメをほおばる姿を見るとうれしくなりますね。これからも来てくれた人に喜んでもらうためにおもてなしを続けます。
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