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[特集]阿蘇くじゅう国立公園 菊池渓谷(2)

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熊本県菊池市

■渓谷は菊池市民の誇り―
昨年、来場者の約1割が外国人観光客を占めており、国外からも注目集める菊池渓谷。
さらなるにぎわいを目指して取り組みが進んでいます。

▽自然の魅力を伝えたい
「あの鮮やかな色の花は何ですか」「これはキツネノカミソリですね」。7月に菊池渓谷で行われた「探検in菊池渓谷」では、熊本県森林インストラクター協会のガイドが花や植物などの名前や生態を紹介し、自然の魅力を解説していました。
「菊池渓谷の魅力を多くの人たちに伝えたいと思いイベントを企画しました」と話すのは、菊池渓谷ビジターセンターを管理する「(株)あんしんCo.,Ltd」の植田雅治(うえだまさはる)さん。同社では渓谷に訪れる人を増やそうと、体験イベントやミニコンサートを開いています。
ビジターセンターは令和2年にリニューアルし、一面ガラス張りで渓谷を見渡せる休憩スペースを新設しました。渓谷の天然水で入れるコーヒーや菊池のコメを使ったおにぎりなどを販売する他、地元の名産品や農産物をそろえた売店もあります。
「今年の夏は猛暑が続き、昨年に比べて渓谷を訪れる人が多いと感じています」と植田さんは続けます。「9月もまだまだ残暑が続きます。散策した後にはビジターセンターでゆっくりしていってほしいですね」

▽何度も苦難を乗り越えて
菊池渓谷は災害による長期閉鎖や新型コロナウイルス感染症予防による入谷制限など、これまで多くの苦難に直面してきました。平成24年の九州北部豪雨では土砂が崩れ遊歩道が損壊。1年以上通行制限が続いた他、平成28年には熊本地震に見舞われ、渓谷につながる県道や遊歩道沿いの斜面が崩落。復旧工事で2年間閉鎖を余儀なくされました。
復興を象徴するビジターセンターリニューアルオープンの直後には新型コロナウイルス。入り口やトイレに消毒液を設置するといった対策を講じ再開を果たすなど、何度もの苦難を乗り越え、訪れる人を出迎えてきました。
「コロナ禍を経て、心身を癒やす菊池渓谷の価値や魅力に気付く人も多いのではないでしょうか」と話すのは市観光振興課の前島赳(まえじまたけし)参事。今年は来場者からの要望もあり、例年より1カ月早い3月1日に渓谷を開場しました。外国からの個人客も増え、市ではさらなるにぎわいの創出に期待を込めます。

▽もっと魅力的な観光スポットに
新たな取り組みも進んでいます。一昨年から始まったのは夜間のライトアップイベント。秋に色づく渓谷の夜を色とりどりのライトが鮮やかに照らします。
「昨年の来場者からは『きれい』『昼間と違う趣がある』などと好評でした。今年も11月に開催します。普段と違う渓谷の姿を味わってほしいです」と前島参事は続けます。
市が令和3年に実施した観光動態調査によると、菊池渓谷は市内で最も人気の高い観光スポット。7割近くが満足と回答し、満足度は1番高い結果でした。しかし、その一方「もう何十年も行っていない」という市民の声も聞きます。
「菊池渓谷は、間違いなく菊池の誇り。地域の皆さんが『いいところだよ。遊びにおいでよ』と口コミで広がっていくことで、菊池渓谷はもっと魅力的な観光スポットになっていくのではないでしょうか」と前島参事は力を込めます。
菊池渓谷は国立公園として指定され90周年を迎えます。四季折々の自然を楽しむことができる九州有数の景勝地で自然を感じてみませんか。皆さんのお越しをお待ちしています。

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