◆「熊本城まんがコンテスト2023」最高賞 グランプリを受賞
德永 浩太郎(とくなが こうたろう)さん
(梅田区 20歳)
◇ターニングポイント
幼少期から「漫画」や「妖怪」が好きだった德永さん。愛読書は、テンポの良さと独特な世界観が魅力の、あさりよしとお氏の「まんがサイエンス」、本来恐れるべき妖怪を親しみやすく描いた水木しげる氏の「ゲゲゲの鬼太郎」や、妖怪を詳細に描いた「水木しげる妖怪大百科」だった。絵を描くことも好きで、裏紙によくイラストを描いた。
高校に進学し美術部に入った。自身が大人になる姿がイメージできず、芸術関係の大学へ進むべきか迷っていた。ある日、美術部の顧問と面談する機会があり、「将来に生かすための力を大学で付けるなら、自分の好きな分野に進むのが良いだろう」と話があった。このことが、自身を芸術学部の道へと導いた大きなターニングポイントだったと徳永さんは振り返る。
◇作品への不安
大学でデザインについて学ぶ傍ら、本格的に漫画を描くようになった。しかし、完成させた漫画には不安が付いて回った。理由は、「自身の漫画を客観的に見れないこと」だった。自身が作り上げたキャラクターには愛着が湧き、客観視する際の妨げとなる。また、自分の常識が読み手の常識と同じであるか疑うことなく描き進めれば、時には読み手にとって分かりにくい内容となってしまう。結果、伝えたいことが伝わっていない事実に、自身が気づかないことになるのではないかと不安を感じていた。
しかしその後、漫画コンテストでの受賞が、德永さんの作品に対する自信につながるきっかけとなる。
◇グランプリ受賞
熊本城にちなんだテーマの短編まんがを募集する「熊本城まんがコンテスト2023」。德永さんはこの度、見事に最高賞のグランプリを獲得した。作品名「天守の光」は、熊本城で幽霊に出合った男性が、城の特徴などを幽霊に聞きながら天守閣に登っていくストーリー。
德永さんは、以前から熊本城に関心を持っており、いつか熊本城に登ってみたいと考えていた。コンテストの開催を機に登った天守閣で、あまりの景色の美しさに感動を覚えた。熊本城のことについても調べた。長年に渡り自然災害を乗り越え、現在も歴史を刻み続けている熊本城の素晴らしさを伝えたいと思った。自身が熊本城を登った経験を重ねた作品で、コンテストに応募することを決めた。
◇これからの展望
「ようやく未来への切れ端が見えてきたかなと思います」と話す德永さんにとって、グランプリの受賞は間違いなく自信になった。
しかし、漫画や様々な作品が溢れる現代。将来の仕事を漫画1本に絞るのは容易ではないと考えている。「上手くいけば漫画家になりたい、と言えば楽観的になりますが…。デザインの仕事と両立しながら見極めていきたいです」と話す德永さん。常に自身や作品を冷静な視点で見つめることができる德永さんの今後が楽しみだ。
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