■次世代へ受け継がれる思い
建設業者と地元の若い力による新たな挑戦を紹介します。
「もう少し速く動かしたほうがきれいになるよ」。打設したコンクリートをならす作業をする生徒たちに、現役の建設会社社員からのアドバイスが飛びます。アドバイスを聞きながら慎重に作業を進めていく生徒たち。9月8日、阿蘇中央高校グリーン環境科環境デザイン類型3年生のコンクリート打設実習のようすです。
この実習は、普段授業で生徒が学んでいることを実践するために同校が初めて企画。雨でぬかるんで牛の出入りが不便になる牛舎の出入口付近の改善のためコンクリートで舗装するというもので、阿蘇地区建設業青年部がボランティアとして協力を申し出ました。
7月には同青年部の助言のもと現場を測量し、施工の手順や必要な材料を確認。9月のこの日は、土を掘り起こし、砕石を入れた後、小型の機械で地盤を固めてコンクリートを流し込みました。生徒たちは7月にショベルカーの操縦に必要な「小型車両系建設機械運転特別教育」を取得。実習でも真剣な表情でショベルカーを操縦していました。
実習には阿蘇郡市の建設業者21社が参加。同青年部の井英樹会長は、業界の課題として若手人材が不足していることを挙げ「技術を継承していくために若い人に業界に入ってもらうことが必要」と話しました。
◆繋がる思い
井晴樹さんは「授業ですることのないことができて勉強になった」と実習を振り返りました。晴樹さんは、建設業界への就職を目指しているといいます。きっかけは「熊本地震で被災した自宅の農地を地元の建設業者に復旧してもらったこと」。
晴樹さんはさらにことばに力を込めました。「土木の大切さを知り、自分も土木で地域に貢献したい」。
その思いは確実に次の世代へと受け継がれています。
○こんなこともしています
令和4年12月2日、熊本県建設業協会阿蘇支部と阿蘇地区建設業青年部が、波野小敷地内の舗装作業とグラウンドの整備作業を行いました。建設業の魅力発信と地域貢献を目的に阿蘇郡市内の学校で実施されています。
バックホウやローラー車など建設機械の操縦体験も行われ、参加した児童は「初めて操縦した。楽しかった」と笑顔を見せました。阿蘇地区建設業青年部の井英樹会長は「喜ぶ子供たちの姿を見ることができてよかった」と話しました。
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