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自治体の皆さまへ

ASO 田園空間博物館通信 No.101

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熊本県阿蘇市

■ASO田園空間博物館(道の駅阿蘇)
◇火焚き神事
私たちASO田園空間博物館は、設立当初から「阿蘇の魅力を、そこに住む人々と共に発掘し、この地を訪れる人々にそれを伝えることでこの地の新しい未来を創造していく」という活動を続けてきました。
その中で活動の主軸となっているのが地域資源である「サテライト」です。現在、98のサテライトが登録されており、市民の皆さまとともに将来につないでいくための活動を行っています。
今回は国指定重要無形民俗文化財「阿蘇の農耕祭事」の1つ、「火焚き神事」を紹介します。火焚き神事は、阿蘇の稲を早霜から守るためのもので、火焚乙女が火焚き殿で、60日間役犬原にある霜神社のご神体を温め続けます。
霜神社に祀られている鬼八は、かつて健磐龍命の家来でした。弓の達人だった健磐龍命は、毎日弓の矢を放ち、鬼八に拾ってくるよう命じていましたが、ある日、鬼八が矢を足で蹴り返してしまいました。そのことに怒った健磐龍命が、鬼八の首や胴・手足をバラバラに斬りつけ、鬼八は阿蘇谷に霜を降らせると宣言し命絶えました。その後、阿蘇地方では時期外れの雪や霜に悩まされることとなり、それを見た健磐龍命は鬼八を神として祀ると約束。彼の痛みを和らげるために始まったのが「火焚き神事」です。
神事では、霜神社から移されたご神体を温めるため、火焚き乙女が火を絶やさないように焚き続けます。火焚き乙女が学校に行っている間は、介添え役として火焚き乙女の祖母が火を焚き続けます。
昨年の火焚き乙女に選ばれたのは、当時小学4年生の藏元りんさん。りんさんは、お父さんと図書館に行って神話を調べ、この日に臨んだそうです。神事当日、火焚き殿では、りんさんが介添え役の祖母けみ子さんと共に、薪に火を入れ、ご神体をあたためるための準備を進めます。炎が大きくなり、室内も暖まったところで神事が執り行われ、鬼八のご神体が霜神社から火焚殿へ移されました。
昨年は新型コロナウイルスの影響で、主要神事の時だけ火を入れる形に。宮川宮司は「伝統の神事を続けていくことが大事」と話していました。サテライト代表の山口哲廣さんは、少子高齢化で火焚き乙女を探すのが困難になっているとしながら、「これからも伝統を継承し、後世へ繋いでいけるようがんばるだけです」と話します。
昔から地域の人々の手により受け継がれてきた火焚神事。いつまでも途絶えることなく続くことを願っています。ことしの火焚き神事も例年通り8月19日から始まります。

問合せ:道の駅阿蘇
【電話】35・5088

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