~互いの人権を尊重し、支え合うことから~
―今年の「12月10日」を迎えるにあたって―
◆「世界人権デー」から「人権の世紀」へ
今年も、12月10日の「世界人権デー」がやってきます。1948年のこの日、フランス・パリで「世界人権宣言」が採択されたのを記念して設けられました。更に、それから約半世紀を経た2001年、政府機関をはじめ当時の新聞やテレビは、しきりに「21世紀は人権の世紀」と紹介していました。これらの記念日や言葉の背景には、「20世紀に二度にわたる世界大戦を引き起こした経験を無駄にせず、全人類の幸せが実現する時代にしたい」という人々の願いが込められていました。
しかし、現実はどうでしょう。世界を見渡すと、地球上の各地で争いごとが起きており、とりわけ多くの子どもたちを含む社会的弱者の命や人権が奪われています。
私たちは、世界で起きている人権問題にもっと目を向けていく必要があります。
◆もう一つの「12月10日」
10月、明るいニュースが飛び込んできました。ノルウェーのノーベル賞委員会は、今年のノーベル平和賞を日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)に授与すると発表しました。「長年、被爆の実相を世界に発信し、核兵器のない世界の実現を訴え続けてきた努力が評価された」ということが主な授賞理由です。
私は、今回のニュースから、学生時代に山口で出会った被爆者の方々のことを思い出しました。当時、私は、「被爆体験の継承」を活動の柱にして取り組むサークルに入部し、広島や長崎で被爆された県内在住の方々との交流を深めていました。そのような中、山口県被団協の関連施設と連携しながら被爆者の方への聞き取りを行い、体験集「語り」の編集・発刊に携わることができました。これは、私にとって貴重な学びとなりました。
その中で、よくご自宅に招いていただいた富田さん(仮名:当時56歳)のお言葉が今でも忘れられません。「ええかね、二度と戦争が起こることがないように、これからはあんたらが背負うていかにゃならんよ。もう、あんな地獄みたいな思いは二度としとうないね。なんぼ貧乏してもいいから平和がええよ。…」
世界では、被爆者の思いを無視するかのように激しい紛争が各地で起こり泥沼化しています。さらに核兵器保有国においては、その使用をちらつかせる発言さえ聞かれます。このように国際社会が深刻な事態に陥る中、今回の受賞はとても意義深いものと考えます。
ノーベル平和賞の授賞式は、日を同じくして、ノーベルの命日である12月10日にノルウェーのオスロで行われます。
問合せ:教育委員会事務局 地域人権教育指導員
【電話】0967-62-0227
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