■[人権(じんけん)]多文化共生の地域づくりを目指して
(1)増える外国人入国者数
近年、グローバル化経済の進展や国際交流の活発化に伴い、日本に在住あるいは訪問する外国人が増えてきています。令和2年以降、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため入国制限が行われ、その数は一時的に減少しました。その後、昨年5月に感染症法上の位置付けが「5類」に移行したこともあり、令和5年の外国人入国者数は約2,583万人となり、前年に比べ約2,163万人増加しました。(法務省R6.1月報道発表資料参照)
また、本県においては、菊陽町へのTSMC(台湾積体電路製造)の進出により、台湾からの企業関係者をはじめ多くの外国人が県内を訪れています。今後、観光やビジネスなども含め、諸外国との人的・物的交流の規模は拡大していくものと思われます。
(2)外国人の人権を考える
このように国際化が本格的に進展する中、言葉や生活習慣の違い等に伴う予断や偏見から、以下のようなさまざまな差別事例が発生しており、大きな課題となっています。
[課題(1) 外国人であるというだけで、不当な扱いを受けること]
アパートへの入居や店舗への入店、施設の利用などを断られることがあります。また、就業を断られたり、就業した後の待遇面で差別されたりすることもあります。さらに、様々な店舗や施設、公共機関などで十分なサービスを受けることができないといった問題も発生しています。
[課題(2) ヘイトスピーチ]
特定の民族や国籍の人々を誹謗中傷したり、排斥したりする言動です。こうした言動は、人々に不安感や嫌悪感を与えるだけでなく、人としての尊厳を傷つけたり、周囲への差別意識を生じさせたりすることにもつながりかねません。
(「熊本県人権研修テキスト」から)
外国人に対する偏見や差別は、異なる民族・国・地域・文化等について正しい理解がなされていないことや、伝統的な価値観を有する地域社会の中で、外国人や異文化に対して閉鎖的になっていることなどが要因だと考えられます。
本格的な行楽シーズンを迎え、外国の方々と出会う機会が多くなりました。私たちは、いろいろな国の人たちと交流し、歴史や文化の違いを知ることで、お互いに一人の人間として認め合い、尊重し合う関係を築いていくことが大切になってくると思われます。
問合せ:高森町教育委員会 地域人権教育指導員
【電話】0967-62-0227
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